【甲種危険物取扱者試験】性消⑤:第五類危険物について、わかりやすく解説 ! – ばけライフ

【甲種危険物取扱者試験】性消⑤:第五類危険物について、わかりやすく解説 !

こんにちは!

前回 (下の記事) に続き、今回も甲種危険物取扱者試験の「性消」について、解説していきます。

【甲種危険物取扱者試験】性消④:第四類危険物について、わかりやすく解説 !
甲種危険物取扱者試験の内、約45%が危険物の性質や火災予防、消火方法に関する問題だということはご存知でしょうか?本記事では危険物の内、第四類の化合物に関する性質や消火方法、火災予防をまとめていますので、ぜひ読んでみてください!

今回のテーマはこちら!

第五類危険物の性質、火災予防、消火方法について、学習しよう!
動画はこちら↓
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性質と概要

まずは、第五類危険物の性質と概要です。

第五類危険物は自己反応性物質で、主な性状と概要はこちらの表のとおりです。

性質性状概要

自己反応性物質

液体

または

固体

  • 試験結果により、爆発の危険性または加熱分解の激しさが認められたものが該当する
  • 比較的低い温度で多量の熱を発生、もしくは爆発的に反応が進行する
  • 可燃性である
  • 物質自身に酸素を含有しているものが多く、高温に不安定で、酸素供給源がなくても点火源があれば、発火・爆発する
  • 比重が\(1\)より大きく、一般に燃焼速度が速く、加熱による分解も速い
  • 加熱・衝撃・摩擦などによって発火するものが多い
  • ・引火性のものがある

火災予防と消火方法

以上の特徴から、第五類危険物の火災予防として、主に以下の点に注意が必要です。

  • 火気、加熱、衝撃、摩擦などを避け、通風のよい冷所に貯蔵する
  • 分解しやすいものは、特に温度、湿気、通風に注意する

また、第五類の消火方法は、大量の水による冷却または泡消火剤の使用が有効です。

第五類危険物は、一般に可燃物と酸素供給源が共存している物質のため、周りの空気を遮断するような窒息消火は意味がありません

加えて、反応が爆発的で、きわめて燃焼速度が速いため、消火自体が困難です。

第五類の主な危険物

ここからは、第五類の主な危険物について解説します。

第五類には、有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ヒドラジンの誘導体、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン塩類、その他の物質が該当します。

それぞれの性状および指定数量は、こちらの表のとおりです。

分類品名性状指定数量
有機過酸化物過酸化ベンゾイル固体 

 

 

\(10\ \rm{kg}\)

 

 

メチルエチルケトンパーオキサイド液体
過酢酸 (ペルオキシ酢酸)液体
硝酸エステル類硝酸エチル液体
硝酸メチル液体
ニトログリセリン液体
ニトロセルロース固体
ニトロ化合物ピクリン酸固体
トリニトロトルエン固体
ニトロ化合物ジニトロソペンタメチレンテトラミン固体
アゾ化合物アゾビスイソブチロニトリル固体
ジアゾ化合物ジアゾジニトロソフェノール固体
ヒドラジンの誘導体硫酸ヒドラジン固体\(100\ \rm{kg}\)
ヒドロキシルアミンヒドロキシルアミン固体
ヒドロキシルアミン塩類硫酸ヒドロキシルアミン固体
その他アジ化ナトリウム固体
硝酸グアニジン固体

各物質の性質、火災予防、消火方法

続いて、各物質の性質、火災予防、消火方法について、解説します。

有機過酸化物

2つの酸素原子が結合しており、 構造上、熱や光によって非常に分解しやすいです。

過酸化ベンゾイル (ベンゾイルパーオキサイド) \(\rm{(C_6H_5CO)_2O_2}\)
・性状および危険性

  1. 白色の固体で、融点\(106^\circ \rm{C}\)以上で爆発的に分解する
  2. 濃硫酸、硝酸などの強酸類との接触により、燃焼、爆発の危険性がある
  3. 高濃度のものは爆発の危険性がある

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

  1. 直射日光を避け、火気、加熱、摩擦、衝撃に注意する
  2. 有機物、強酸類との接触を避ける
  3. 容器を密栓し、換気のよい冷暗所に貯蔵し、乾燥状態では取り扱わない

・消火方法

大量注水、泡、強化液による冷却消火が有効

メチルエチルケトンパーオキサイド \(\rm{(CH_3C_2H_5COO)_2}\)
・性状および危険性

無色で特異臭のする液体

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

容器を密栓すると、内圧が上昇し分解を促進してしまうので、ふたには通気性をもたせる

・消火方法

大量注水、泡、強化液による冷却消火が有効

過酢酸 (ペルオキシ酢酸) \(\rm{CH_3COOOH}\)
・性状および危険性

無色で刺激臭のする液体

・消火方法

大量注水、泡、強化液による冷却消火が有効

硝酸エステル類

硝酸の水素原子をアルキル基で置き換えた化合物で、自然分解により酸化窒素を発生し、これが触媒となって自然発火します。

硝酸エチル  \(\rm{C_2H_5NO_3}\)
・性状および危険性

  1. 無色で芳香臭のする液体
  2. 蒸気比重が\(\displaystyle 3.14\)と、空気の約3倍の重さである
  3. 水に溶けにくいが、アルコール、ジエチルエーテルに溶ける
  4. 引火点が低く、酸素を含有しているので、静電気などの点火源があると爆発的に燃焼する

・消火方法

大量注水、泡、強化液による冷却消火が有効

硝酸メチル  \(\rm{CH_3NO_3}\)
・性状および危険性

  1. 無色透明の液体
  2. 引火点が低く、酸素を含有しているので、静電気などの点火源があると爆発的に燃焼する

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

容器に密栓し、直射日光を避け、換気のよい冷暗所に貯蔵する

・消火方法

大量の水による冷却消火が有効

ニトログリセリン  \(\rm{C_3H_5(ONO_2)_3}\)
・性状および危険性

  1. 無色の油状液体で、加熱、打撃、摩擦に敏感である
  2. ダイナマイトの原料である

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

加熱、打撃、摩擦を避ける

・消火方法

水、二酸化炭素、粉末、泡の消火剤による消火が有効

ニトロセルロース  \(\rm{C_6H_7(ONO_2)_3}\)
・性状および危険性

  1. 無色無臭の固
  2. 精製が悪く酸が残っていると、直射日光または加熱で分解し、自然発火する

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

エタノールまたは水で湿らせ、安定剤もしくは保護液を加えて冷所に貯蔵する

・消火方法

大量の注水による冷却消火が有効

ニトロ化合物

ニトロ基をもつ多くの化合物は、爆発性を有します。

ピクリン酸(トリニトロフェノール)  \(\rm{C_6H_2(NO_2)_3OH}\)
・性状および危険性

  1. 黄色の結晶で、強い苦みがあり、皮膚吸収による毒性がある
  2. 水に溶けにくいが、熱湯、アルコール、ジエチルエーテル、ベンゼンに溶ける
  3. 急激な加熱により、爆発する
  4. 酸性であるため、金属と反応して爆発性の金属塩をつくる
  5. 打撃、衝撃、摩擦により発火・爆発の危険がある

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

  1. 加熱、打撃、摩擦を避ける
  2. 乾燥したものは危険性が増すので、取り扱いに注意する

・消火方法

大量注水による冷却消火が有効

トリニトロトルエン  \(\rm{C_6H_2(NO_2)_3CH_3}\)
・性状および危険性

  1. 淡黄色の結晶で、金属とは反応しない
  2. 水に溶けにくいが、熱湯、アルコール、ジエチルエーテル、ベンゼンに溶ける
  3. 急激な加熱により、爆発する
  4. 酸化されやすいものと共存すると、打撃などにより爆発の危険がある

・消火方法

大量注水による冷却消火が有効

ヒドラジンの誘導体

硫酸ヒドラジン \(\rm{NH_2NH_2・H_2SO_4}\)
・性状および危険性

  1. 白色結晶で、冷水に溶けないが、熱水に溶けて酸性を示す
  2. 還元性が強い
  3. 融点(\(254^\circ \rm{C}\)) 以上に加熱すると分解し、アンモニア、二硫化硫黄、硫化炭素および硫黄を生成する

・消火方法

大量注水による冷却消火が有効

ヒドロキシルアミン

ヒドロキシルアミン \(\rm{NH_2OH}\)
・性状および危険性

白色結晶で、潮解性がある

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

  1. 密閉した容器で乾燥した冷暗所に保管する
  2. 火気、高温体との接触を避ける

・消火方法

大量注水による冷却消火が有効

ヒドロキシルアミン塩類

硫酸ヒドロキシルアミン \(\rm{H_2SO_4・NH_2OH}\)
・性状および危険性

潮解性があり、水溶液は強酸性で金属を腐食する

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

  1. 密閉した容器で乾燥した冷暗所に保管する
  2. 火気、高温体との接触を避ける

・消火方法

大量注水による冷却消火が有効

その他

金属のアジ化合物と硝酸グアニジンが指定されており、前者は一般に不安定で、特に重金属のアジ化合物は爆発性を有します

アジ化ナトリウム \(\rm{NaN_3}\)
・性状および危険性

  1. 無色の板状結晶で、加熱、衝撃による爆発の危険がある
  2. そのもの自体は爆発性ではないが、酸と反応し、有毒で爆発性のアジ化水素を生成する

・火災予防、貯蔵取り扱いの注意

  1. 直射日光を避け、換気のよい冷所に密閉して貯蔵する
  2. 酸、金属と一緒に貯蔵しない

・消火方法

金属火災用粉末消火器、乾燥砂による窒息消火が有効で、水の使用は厳禁

硝酸グアニジン \(\rm{NHCNH_2NH_2・HNO_3}\)
・性状および危険性

  1. 白色結晶で、、アルコールによく溶け、アセトンに少し溶ける
  2. 衝撃、加熱により爆発の危険性がある

・消火方法

注水による冷却消火が有効

まとめ

今回の記事は以上となります。

次回は第六類危険物について解説していくので、ぜひそちらも視聴してください!

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それでは、どうもありがとうございました。

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