こんにちは!
前回 (下の記事) に続き、今回も甲種危険物取扱者試験の「性消」について、解説していきます。
【甲種危険物取扱者試験】性消⑤:第五類危険物について、わかりやすく解説 !
甲種危険物取扱者試験の内、約45%が危険物の性質や火災予防、消火方法に関する問題だということはご存知でしょうか?本記事では危険物の内、第五類の化合物に関する性質や消火方法、火災予防をまとめていますので、ぜひ読んでみてください!
今回のテーマはこちら!
第六類危険物の性質、火災予防、消火方法について、学習しよう!
動画はこちら↓
性質と概要
まずは、第六類危険物の性質と概要です。
第六類危険物は酸化性液体で、主な性状と概要はこちらの表のとおりです。
性質 | 性状 | 概要 |
酸化性液体 | 液体 | - 試験結果により、酸化の危険性が認められたものが該当する
- 不燃性の無機化合物であるが、混在する他の可燃物の燃焼を促進させる
- 強酸化剤であり、有機物と混合させると、それを酸化させ、場合によっては着火させることがある
- 腐食性があるため皮膚を侵す、またその蒸気は有毒である
- 過塩素酸のように、水と接触すると激しく反応し、発熱するものがある
- 硝酸のように、湿った空気との接触により発煙するものがある
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火災予防と消火方法
以上の特徴から、第六類危険物の火災予防として、主に以下の点に注意が必要です。
- 有機物、還元剤との混在を避ける
- 火気、直射日光を避ける
- 過酸化水素以外は、耐酸性の容器に密封貯蔵する
- 水と反応するものは、接触を避ける
また、第六類の消火方法は、一般的に大量の水による冷却または泡消火剤の使用が有効です。
第六類の主な危険物
ここからは、第六類の主な危険物について解説します。
第六類の主な危険物には、過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物が該当します。
これらの指定数量は、\(300\ \rm{kg}\)です。
品名 | 指定数量 |
過塩素酸 | \(300\ \rm{kg}\) |
過酸化水素 |
硝酸 |
ハロゲン間化合物 |
それでは、各物質の説明に移ります。
過塩素酸 \(\rm{HClO_4}\)
きわめて不安定で強力な酸化剤です。
・性状および危険性- 無色透明の液体で、加熱すると爆発する
- 揮発性があり、空気中で強く発煙する
- 水と接触すると、発熱する
- 木片などの有機物と接触すると、自然発火することがある
- アルコールなど可燃性有機物との混合により急激な酸化反応を起こし、発火、爆発することがある
・火災予防、貯蔵取り扱いの注意 - 加熱、可燃物、有機物との接触を避ける
- 容器を密栓し、換気のよい冷暗所に貯蔵し、乾燥状態では取り扱わない
・消火方法 大量の水による冷却消火が有効 消火後はアルカリ液で中和して洗い流す |
過酸化水素 \(\rm{H_2O_2}\)
強力な酸化剤であり、分解を抑制するために安定剤が加えられています。
・性状および危険性- 弱酸性で、無色透明の粘性液体
- 水、アルコールに溶ける
- きわめて不安定で、\(\rm{50}\)%以上の濃度のものは、常温でも水と酸素に分解する
- 加熱により、可燃性ガスの酸素が発生する
- 直射日光や熱で分解して爆発することもある
- 強酸化剤であるが、還元剤としてはたらく場合もある
- 不燃性だが、強酸化剤のため可燃物、有機物、還元剤と激しく反応し、特に金属の存在により火災、爆発の危険性がある
- 皮膚腐食性がある
・火災予防、貯蔵取り扱いの注意 - 分解で生じる酸素を逃がすため、容器は完全に密閉することなく、通気のために栓に穴を開けておく
- 安定剤にはリン酸、尿酸、アセトニトリドなどが使用されている
- 直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する
- 漏えい時には大量の水で洗い流す
- 希釈する場合は、水の中に過酸化水素を少しずつ加える
- 濃度の高いものは、皮膚や粘膜を腐らせるので注意する
・消火方法 注水による冷却消火が有効 |
硝酸 \(\rm{HNO_3}\)
強い酸化力があり、様々な金属と反応して塩を形成します。
硝酸 |
・性状および危険性- 無色透明または黄色の腐食性液体で、発煙性、窒息性、吸湿性がある
- 白金と金以外の多くの金属と反応する
- 湿気を含む空気中で、褐色に発煙する
- 常温でも直射日光、加熱により分解し、酸素と二酸化窒素を生じる
\(\rm{4HNO_3}\rightarrow \rm{2H_2O}+\rm{4NO_2}+\rm{O_2}\) - 不燃性だが、強い酸化剤である
- 二硫化炭素、アミン類、ヒドラジン類などと混合すると発火または爆発する
- 有機物を激しく酸化させる
- 皮膚腐食性がある
・火災予防、貯蔵取り扱いの注意 - 瓶、ステンレス鋼、アルミニウムの容器に貯蔵する
- 鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムなどは、希硝酸には激しく侵されるが、濃硝酸には不動態をつくり侵されない
・消火方法 注水による冷却消火が有効 |
発煙硝酸 (濃度\(\rm{98}\%\)以上の硝酸) |
・性状および危険性- 濃硝酸に二酸化窒素を加圧飽和させたもので、空気中で窒息性の二酸化窒素を発生する
- 硝酸よりさらに酸化力が強い
・消火方法 注水による冷却消火が有効 |
ハロゲン間化合物
2種類のハロゲンからなる化合物の総称で、多数のフッ素原子を含むものは特に反応性に富み、ほぼすべての金属および多くの非金属と反応して、フッ化物を作ります。
三フッ化臭素 \(\rm{BrF_3}\) |
・性状および危険性- 無色の液体
- 水と接触すると激しく分解し、猛毒で腐食性のフッ化水素、臭素酸および次亜臭素酸を生じる
- 低温では固化し (凝固点\(9^\circ \rm{C}\))、フッ化水素などの溶媒に常温で溶ける
・消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
五フッ化臭素 \(\rm{BrF_5}\) |
・性状および危険性- 無色の発煙性液体
- 沸点が低く (\(-60^\circ \rm{C}\))、気化しやすい
- 水と反応して、三フッ化ブロモシル (\(\rm{BrOF_3}\)) とフッ化水素を生成する
- 三フッ化臭素より反応性に富み、ほぼすべての物質と激しく反応して、フッ化物に変わる
・火災予防、貯蔵取り扱いの注意 強酸で腐食性があるため、ガラス製容器に貯蔵する ・消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
五フッ化ヨウ素 \(\rm{IF_5}\) |
・性状および危険性- 無色の発煙性液体
- 水と激しく反応して、フッ化水素およびヨウ素酸を生成する
- 反応性に富み、金属および非金属と容易に反応して、フッ化物を生じる
・火災予防、貯蔵取り扱いの注意 強酸で腐食性があるため、ガラス製容器に貯蔵する ・消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
まとめ
今回の記事は以上となります。
次回は「性消」に関する問題演習を行うので、ぜひこちらもご覧ください!
【甲種危険物取扱者試験】「性消(危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法)」の練習問題を10問解いてみよう!
甲種危険物取扱者試験の内、危険物の性質や火災予防、消火方法 (性消) に関する解説はいかがだったでしょうか?本記事では、第一 ~ 六類の危険物に関する練習問題を掲載しています。学習のまとめとして、ぜひ取り組んでみてください。
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それでは、どうもありがとうございました。