こんにちは!
それでは今日も化学のお話やっていきます。
今回のテーマはこちら!
動画はこちら↓
動画で使ったシートはこちら(錯体化学1)
それでは内容に入っていきます!
錯体
大前提として、錯体という用語が指す化学種はなんでしょうか。
一般的には、単独状態でも存在しうる化学種が配位子となって、金属原子あるいは金属イオンを囲む形で存在しているものをさします。
配位子は、自らの持つ非共有電子対を介して金属原子や金属イオンと結合を形成しており、この結合は特に、配位結合とよばれます。
これは、ルイス酸、ルイス塩基の定義によると、非共有電子対を与える配位子が「ルイス塩基」、金属原子や金属イオンが「ルイス酸」ということになります。
ルイスの酸・塩基の定義
ルイス酸は非共有電子対を相手から受け取るもののことをいいます。
ルイス塩基は非共有電子対を相手に与えるもののことをいいます。
内圏錯体と外圏錯体
主に錯体として扱われているものは、内圏錯体、外圏錯体という分類がされます。
こちらは、一般的な錯体の通り、中心の金属原子や金属イオンに複数の配位子が直接配位した組み合わせのことを指します。
この時配位した配位子の数を配位数といいます。
また、外圏錯体は、[Mn(OH2)6]SO4のように、正電荷を持った錯体(以下の図では、[Mn(OH2)6]2+)が、負電荷を持った配位子(以下の図では、SO42-)と、すでに結合している配位子の交換が起こることなく、静電気的な引力で会合したもののことです。
Werner型錯体と有機金属錯体
その他によく対比される分類として、こちらを取り上げさせていただきます。
これから先に習うことを見据えた発展的内容となりますが大事な概念です。
Werner型錯体は、金属と配位子のペアが配位結合を成している一般的な錯体のことを指します。
次に紹介する有機金属錯体ではないもの、ぐらいの認識で構いません。
一方、有機金属錯体は、金属と炭素原子、もしくは有機分子との間に結合がある錯体のことを指します。
ざっくり説明するなら、金属Mと炭素C間の結合である、M-C結合があるもの、という説明の仕方もあります。
Werner型錯体は、配位結合がベースですが、有機金属錯体の当該結合部分は共有結合性を持っている、という特徴があります。
錯体化学の祖 Werner
先ほど紹介したWerner型錯体が、みなさんの記憶に残りやすいよう、錯体化学を学ぶうえで見過ごすことはできないWernerの業績についてまとめておきます。
彼が活躍したのは19世紀後半で、錯体についての研究は、錯体の英語名complexが示す通り難航していました。このような化合物に対する説明を与えたのがWernerでした。
原子価の概念を確立
第一に当時は同じ元素は必ず同じ手の本数を持つ、という常識を覆しました。
例えば、塩化銅にはCuClとCuCl2のふたつがありますが、当時はCuは二本の手を持つと考えられていたので、図のような結合様式が考案されていました。
それに対し、WernerはそのうちCuClではCuの手は1つであると提案し、今では常識である、元素は原子価を変化させることができる、という考えを築きました。
配位化合物の立体の概念を導入
第二に配位化合物の立体の概念を導入しました。
具体例を用いて説明します。
当時は、同じ組成式をもつCoCl3(NH3)6という化学種が違う色を示すことがあるという現象を説明できませんでした。
そこでWernerは以下の図のような6配位型の立体モデルを考案し、9つのCl–およびNH3のうちCoと直接結合している6つの化学種を配位子と名付けました。
また、色の違いは、配位子の選定方法や、選ばれた配位子の立体の違いによると説明しました。
彼の説は、発表当時はなかなか受け入れられませんでしたが、実験を重ねるにつれて正しさが検証されていき、1913年にはノーベル化学賞が送られました。
まとめ
はい、今回の内容は以上です。
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それではどうもありがとうございました!