こんにちは!
化学メーカーで研究職をしている沢渡です。
前回 (下の記事) に続き、今回も甲種危険物取扱者試験の「性消」について、解説していきます。
今回のテーマはこちら!
性質と概要
まずは、第六類危険物の性質と概要です。
第六類危険物は酸化性液体で、主な性状と概要はこちらの表のとおりです。
性質 | 性状 | 概要 |
酸化性液体 |
液体
|
・試験結果により、酸化の危険性が認められたものが該当する
・不燃性の無機化合物であるが、混在する他の可燃物の燃焼を促進させる ・強酸化剤であり、有機物と混合させると、それを酸化させ、場合によっては着火させることがある ・腐食性があるため皮膚を侵す、また、その蒸気は有毒である ・過塩素酸のように、水と接触すると激しく反応し、発熱するものがある ・硝酸のように、湿った空気との接触により発煙するものがある |
火災予防と消火方法
以上の特徴から、第六類危険物の火災予防として、主に以下の点に注意が必要です。
・有機物、還元剤との混在を避ける
・火気、直射日光を避ける
・過酸化水素以外は、耐酸性の容器に密封貯蔵する
・水と反応するものは、接触を避ける
また、第六類の消火方法は、一般的に大量の水による冷却または泡消火剤の使用が有効です。
第六類の主な危険物
ここからは、第六類の主な危険物について解説します。
第六類の主な危険物には、過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物が該当します。
これらの指定数量は、\(300\ \rm{kg}\)\(\)です。
品名 | 指定数量 |
過塩素酸 |
\(300\ \rm{kg}\)\(\)
|
過酸化水素 | |
硝酸 | |
ハロゲン間化合物 |
それでは、各物質の説明に移ります。
過塩素酸 \(\rm{HClO_4}\)\(\)
きわめて不安定で強力な酸化剤です。
✓性状および危険性
・無色透明の液体で、加熱すると爆発する ・揮発性があり、空気中で強く発煙する ・水と接触すると発熱する ・木片などの有機物と接触すると自然発火することがある ・アルコールなど可燃性有機物との混合により急激な酸化反応を起こし、発火、爆発することがある
✓火災予防、貯蔵取り扱いの注意 ・加熱、可燃物、有機物との接触を避ける ・容器を密栓し、換気のよい冷暗所に貯蔵し、乾燥状態では取り扱わない
✓消火方法 大量の水による冷却消火が有効 消火後はアルカリ液で中和して洗い流す |
過酸化水素 \(\rm{H_2O_2}\)\(\)
強力な酸化剤であり、分解を抑制するために安定剤が加えられています。
✓性状および危険性
・弱酸性で、無色透明の粘性液体 ・水、アルコールに溶ける ・きわめて不安定で、\(\rm{50}\)\(\)%以上の濃度のものは、常温でも水と酸素に分解する ・加熱により、可燃性ガスの酸素が発生する ・直射日光や熱で分解して爆発することもある ・強酸化剤であるが、還元剤としてはたらく場合もある ・不燃性だが、強酸化剤のため可燃物、有機物、還元剤と激しく反応し、特に金属の存在により火災、爆発の危険性がある ・皮膚腐食性がある
✓火災予防、貯蔵取り扱いの注意 ・分解で生じる酸素を逃がすため、容器は完全に密閉することなく、通気のために栓に穴を開けておく ・安定剤にはリン酸、尿酸、アセトニトリドなどが使用されている ・直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する ・漏えい時には大量の水で洗い流す ・希釈する場合は、水の中に過酸化水素を少しずつ加える ・濃度の高いものは、皮膚や粘膜を腐らせるので注意する
✓消火方法 注水による冷却消火が有効 |
硝酸 \(\rm{HNO_3}\)\(\)
強い酸化力があり、様々な金属と反応して塩を形成します。
硝酸 |
✓性状および危険性
\(\rm{4HNO_3}\) \(\rightarrow \rm{2H_2O}\)\(+\rm{4NO_2}\)\(\)\(+\rm{O_2}\)\(\) ・不燃性だが、強い酸化剤である ・二硫化炭素、アミン類、ヒドラジン類などと混合すると発火または爆発する ・有機物を激しく酸化させる ・皮膚腐食性がある
✓火災予防、貯蔵取り扱いの注意 ・瓶、ステンレス鋼、アルミニウムの容器に貯蔵する ・鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムなどは、希硝酸には激しく侵されるが、濃硝酸には不動態をつくり侵されない
✓消火方法 注水による冷却消火が有効 |
発煙硝酸 (濃度\(\rm{98}\%\)以上の硝酸) |
✓性状および危険性
✓消火方法 注水による冷却消火が有効 |
ハロゲン間化合物
2種類のハロゲンからなる化合物の総称で、多数のフッ素原子を含むものは特に反応性に富み、ほぼすべての金属および多くの非金属と反応して、フッ化物をつくります。
三フッ化臭素 \(\rm{BrF_3}\)\(\) |
✓性状および危険性
✓消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
五フッ化臭素 \(\rm{BrF_5}\)\(\) |
✓性状および危険性
✓火災予防、貯蔵取り扱いの注意 強酸で腐食性があるため、ガラス製容器に貯蔵する ✓消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
五フッ化ヨウ素 \(\rm{IF_5}\)\(\) |
✓性状および危険性
✓火災予防、貯蔵取り扱いの注意 強酸で腐食性があるため、ガラス製容器に貯蔵する ✓消火方法 粉末消火剤や乾燥砂による窒息消火が有効で、水系の消火剤は適切ではない |
まとめ
今回の記事は以上となります。
次回は「性消」に関する問題演習を行うで、ぜひそちらも視聴してください!
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それでは、どうもありがとうございました。