こんにちは!それでは今回も化学のお話やっていきます。
今回のテーマはこちら!
動画はこちら↓
動画で使ったシートはこちら(alkene name)
試験等で聞かれることも少ない基本知識ですが、忘れがちなものではあるので、もう勉強した方も復習に使ってください。
それでは内容に入っていきます。
アルケンの命名法
まず始めにアルケンとは炭素-炭素の二重結合をもつ有機化合物のことです。
ものによっては多くの異性体を持つ場合があるため、命名法のルールがたくさんあります。
順番に見ていきましょう。
慣用名
まずは慣用名です。
alkaneのaneをyleneに変えることで呼ばれるアルケンがあります。
とは言っても炭素数2のエチレンと炭素数3のプロピレンくらいで、多くはIUPAC名で呼ばれます。
IUPAC名
IUPAC名ではalkaneのaneをeneに変えます。
炭素数2だとエテン、炭素数3だとプロペンです。
でもこの2つだけは慣用名で呼ぶことが多いですね。
分枝を持っている場合
枝分かれ構造があって且つ二重結合も持つものは、二重結合を含む最長の鎖を主鎖として名前を付けます。
二重結合の位置を示す番号
ブテンよりも大きなアルケンでは数字を頭につけて二重結合の場所を表します。
この際、頭に付く数字が小さくなる方の末端から番号を付けます。
シクロアルケンでは数字をつける必要はありません。
補足
ここで命名法とはちょっと外れますが、補足をします。
1-ブテンと2-ブテンの関係は構造異性体、もしくは二重結合異性体といいます。
そして1-アルケンのことは末端アルケンと呼び、それ以外のアルケンは内部アルケンと呼びます。
置換基の表し方
置換基は結合している炭素の番号とその名前を頭につけて表します。
左右対称なアルケンにつける場合はその番号が小さくなるようにします。
立体異性体の区別方法
先ほど紹介した2-ブテンですが実はもう1種類2-ブテンがあります。
いわゆるシス体とトランス体です。
これらは光学異性体ではない立体異性体なのでジアステレオマーの関係であり、幾何異性体、またはシス-トランス異性体と呼ばれます。
ちなみに小さな環をもつシクロアルケンにはトランス体が存在しません。
そういう場合にはcisを付けないこともあります。
C=C結合の炭素原子に3つ以上の置換基がある場合
先ほどのようにシス、トランスで構造を表せるのはC=C結合の炭素原子への置換基が2つの場合のみです。
3つ以上の場合には別の方法が必要です。
ここでは不斉炭素の立体を記述するR,Sを決めるときに用いた準位則を使います。
原子番号の大きいものが優先、異なる原子が出てくるまで置換基を辿っていくというものです。
このルールを二重結合を形成している2つの炭素原子に個別に適用します。
そしてお互いの優先順位の高い方がシスのような位置関係になったものをZ異性体、トランスの位置関係になるものをE異性体と呼びます。
語源はそれぞれ「一緒に」、「反対の」という意味のドイツ語で、zusammen、entgegenです(読み方は知らぬ)。
C=C結合とOH基を持つ場合
C=C結合とOH基を持つ場合にはアルケノールとして名前を付けます。
その際、両方を含む炭素鎖を主鎖にして、OH基がついている炭素の番号がなるべく小さくなるようにします。
名前を付けるときには(二重結合の炭素番号)-alken-(ヒドロキシ基の炭素番号)-olになります。
カタカナで書くときには問題ありませんが、アルファベット表記の時はalkeneではなくてalkenという風にeが消えるので知っておいてください。
二重結合をもつ置換基として扱う場合
二重結合をもっていてもアルケンとして名前を付けないときにはアルケニル基として扱います。
エテニル基以外では二重結合の場所を数字で表す必要がありますが、アルケニル基ではアルキル基同様に主鎖に直接結合している炭素原子を1として番号を付けます。
エテニル基にはビニル基、2-プロぺ二ル基にはアリル基という慣用名がついています。
これは余談ですが、アリル基に名前が似ているものにアリール基があります。
これは芳香族を持つ置換基の総称です。
アルファベットで書くとallylとarylで発音が違うんですが、日本人には難しいです。
本当はどっちもアリルと聞こえるんですが、区別するために伸ばし棒を入れてアリル、アリールと日本語では区別されています。
練習問題
はい、それでは練習問題としていくつかのアルケンを命名してみましょう。
こちらの3つの化合物のIUPAC名はどうなるでしょうか?
(1)
シクロヘキセンにクロロ基とメチル基がついています。
問題は番号の付け方です。
ここではより優先順位の高い(アルファベット順で若い)クロロ基についている番号が最小になるようにします。
そして二重結合を作る炭素原子が1と2になるため、結局答えは1-クロロ-5-メチルシクロヘキセンになります。
二重結合の置換基が3つあるので、EとZを考えられなくもないですが、Z異性体は大きな結合角ひずみがあってとても不安定なので、わざわざ(E)-を付ける必要もないでしょう。
(2)
シクロヘキサノールにアルケニル基がついている、とみなして名前を付けます。
答えはtrans-2-(cis-2-ブテニル)シクロヘキサノールになります。
光学異性体も考慮する場合はtransを(1R,2S)にします。
(3)
アルケノールとみなしてこのように番号を付けます。
答えは(Z)-5-フルオロ-3-メチル-2-プロピル-2-ペンテン-1-オールです。
まとめ
今回の内容は以上です。
アルケンの命名についてはたくさんルールがあって、特にEとZはどっちがどっちかわからなくなることもあると思います。
そういう時は、お持ちの教科書やこういったネット記事で思い出すようにしてくださいね♪
それではどうもありがとうございました!
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