【大学の細胞生物学】細胞周期の各期について、わかりやすく解説!!

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こんにちは!

それでは今日も、細胞生物学のお話しをやっていきます。

今回のテーマはこちら!

細胞周期の各期について、より詳しく見ていこう!

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細胞周期の概要に関する記事はこちら↓

【大学の細胞生物学】細胞周期について、わかりやすく解説!!
私達の身体を形成する細胞は、どうやって成長し、増幅するのでしょうか。この記事では、細胞周期と呼ばれる細胞が成長し増殖する仕組みについて、図を用いてわかりやすく解説します。細胞周期の大まかな役割、細胞周期の進行に必要な代表的な分子、サイクリンとCdkの関係性について理解を深めることが出来るでしょう。

それでは内容に入っていきます!

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G1期について

G1期は、細胞増殖の意思決定に重要な時期であり、様々な細胞内外のシグナルに基づいて、一時的に増殖を止めたり、長期的に非増殖状態にするか、S期の開始に備えています。

G1期を無事に通過すると、細胞周期を完全に一周することになっています。

細胞周期の進行には、細胞周期制御系の細かな分子機構が重要で、これらが正常に機能しなくなると、異常な細胞増殖と、がんを導いてしまいます。

細胞周期の進行には、Cdkの活性化と不活性化が重要です。

G1期ではこのCdkは不活性化されています。

逆に、G1期にこれらを不活性化させないでおくと、すぐにDNAの複製が始まり次の分裂を開始させます。

このような短期間の周期は初期胚に見られ、細胞が成長する時間がないために細胞分裂のたびに細胞は小さくなります。

M期からG1期への移行にはS-CdkやM-Cdkを不活性化させた状態にしないとなりません。

そのため、新しいサイクリンの合成は阻止され、Cdk阻害タンパクでサイクリン-Cdk複合体の活性を抑えています。

次に分裂促進因子についてです。

哺乳類の細胞では、分裂促進因子による細胞外シグナルによる刺激を受けた時のみ細胞が増殖します。

この因子がない場合、G1期で停止し、または、非増殖状態に入って細胞周期が停止されます。

分裂促進因子の役割は、G1サイクリン、G1/Sサイクリン、DNA合成と染色体複製に関与する様々なタンパク質の合成を促進する細胞シグナル伝達経路のスイッチを入れます。

G1-Cdk、G1/S-CdkはRbタンパク(網膜芽細胞腫タンパク)をリン酸化して構造を変化させます。

Rbタンパクとは、特定の転写調節因子に結合して細胞増殖に必要な遺伝子のスイッチが入るのを妨げているタンパク質です。

Rbタンパクがリン酸化されて構造が変化すると、細胞の増殖に必要な遺伝子が活性化されます。

DNAの損傷が起こった場合

G1期にDNAの損傷が起こった場合、細胞周期制御系は細胞周期の進行を中断し、修復を行います。

G1期のDNAの損傷はp53と呼ばれる転写調節因子の濃度と活性を増加させます。

p53p21の転写を活性化させ、G1/S-Cdk、S-Cdkに結合し細胞周期をS期へと進行させるのを阻害します。

こうすることで、S期へ移行する前に損傷を受けたDNAを修復する時間を確保することが出来ます。

また、p53はアポトーシスと呼ばれるプログラムされた細胞死を誘導することも知られています。

これは、DNAの損傷が重大で、修復できない時に起こります。

p53に異常や欠陥がある場合、損傷したDNAがそのまま複製されることになるので、変異率が上昇し、細胞ががん化しやすくなります。

細胞は永久的に細胞分裂をやめ、細胞周期から離脱することもあります。

ヒトの多数の細胞は分化した時に永久に分裂が止まるものが多いです。

たとえば、神経細胞や筋細胞では細胞周期制御系は完全に解体されています。

G0期について

細胞周期から一時的に離脱している状態をG0期といいます。

G0期では、細胞周期制御系を素早く再構築しふたたび分裂する能力を保っています。

S期への準備段階

S期におけるDNAの複製にはG1の段階において準備が必要になります。

S期のお話に入る前にその準備段階について見てみましょう。

ORC(複製起点認識複合体)とは、DNAの複製が開始される各染色体の部位に結合しているタンパク質複合体のことをいいます。

G1期ではCdc6と呼ばれるタンパク質がこのOCRに結合します。

そしてそこへ、DNAの二重らせんを解く酵素、DNAヘリカーゼが結合し、複製起点の準備が整います。

ORCとDNAヘリカーゼの複合体を、複製前複合体といいます。

この準備が終了したのちにS期へ移行します。

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S期について

S-Cdkは、先ほどG1期で準備した複製前複合体(pre-RC)のDNAヘリカーゼを活性化し、複製フォークを形成するタンパク質の組み立てを促進します。

複製フォークとは、この、二本鎖DNAの水素結合が解離してできるY字型の領域のことをいいます。

また、S-CdkはCdc6をリン酸化することで分解を促し、DNAの再複製を阻止する役割を持っています。

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G2期について

G2期では有糸分裂を行うための準備と、DNAの修復が行われます。

G1期にDNAの損傷に対する対処機構が存在するのと同じように、G2期でも、S期でのDNA複製中に問題が起きた場合に、M期への進行を遅らせます。

M-Cdkの活性は、特定の部位のリン酸化で阻害されます。

このリン酸化を取り除くには、Cdc25と呼ばれる活性化タンパクホスファターゼが必要になります。

DNAの複製に問題があった場合、Cdc25が阻害されるため、M-Cdkは活性されません。

DNAの損傷がきちんと修復されるまではM期の開始が遅れます。

M期について

M期では核の分裂と細胞質の分裂が起こります。

M期に要する時間は約1時間程度と、比較的短期間で劇的な変化が起こります。

この変化を開始させているのがM-Cdkです。

前回の記事でも触れましたが、活性化したM-Cdkは阻害キナーゼWee1を停止させ、活性化M-Cdkの生産をさらに促進します。

そしてG2期からM期へと細胞周期が進行します。

コヒーシンとコンデンシン

M期に登場するコヒーシンコンデンシンについてお話します。

S期にDNAが複製されると染色体が倍加します。

この2つの相同な染色体を姉妹染色体といいます。

コヒーシン、コンデンシンは染色体が正しく分離するような機能を持っています。

それぞれの機能を見てみましょう。

コヒーシンは、大きな輪の構造をもち、2つの姉妹染色分体を囲み、有糸分裂の終わりに輪が破壊されるまで、2つの染色体を結合させる役割を持っています。

また、コンデンシンは、姉妹染色分体を小さく凝集した構造へと巻き上げ、有糸分裂の際の分離を容易にする役割を持っています。

2倍になった染色体が凝集した後、有糸分裂紡錘体は核の分裂を進行させ、収縮環は細胞質の分裂を進行させます。

有糸分裂紡錘体は微小管と微小管付随モータータンパクを含む様々な結合タンパクからなります。

そして、倍加した染色体を分離し、染色体の2組のコピーを2個の娘細胞に1組ずつ分配する働きを持ちます。

収縮環アクチンフィラメントミオシンフィラメントからなります。

これらは、細胞の赤道面周囲に環状構造をつくり、収縮しながら細胞膜を内側に引っ張り、細胞を2つに分離する役割を持ちます。

まとめ

はい、今回の内容は以上です。

次回は、他の細胞から生存シグナルを受けないとどうなるのか?アポトーシスについて、考えていこうと思います。

間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、Twitter(https://twitter.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。

それではどうもありがとうございました!

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