【特別編】化学系学生の大学院入試に向けた対策について

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こんにちは!

今回は特別編として、化学系の大学院入試で、何をすべきなのかというのを、経験者として提案させていただこうと思います。

動画はこちら↓

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始めに

まず、改めて自己紹介します。

僕は2022年1月現在、修士2年の学生です。

院試を受けたのは、約2年半前になります。

専攻は高分子科学で、大学院入試での受験科目は、物理化学、有機化学、高分子科学でした。

そのため、無機化学や生化学については、これを読んでいる皆さんの方が、すでに詳しいかもしれません(笑)

さて、今回お話しする内容は、大学院入試の対策ということですが、もちろん僕の経験からお話しするしかありません。

そのため、絶対的に正しい訳ではないということを、始めに注意しておきます。

とは言っても、全く根拠のないことを言うのも無責任すぎるので、書籍に書かれていたテクニックの中で、効果を実感できたものも紹介します。

その大部分は、以下の「メンタリストDaiGo 『自分を操る超集中力』 かんき出版 (2016)」を参考にしたものですが、他の書籍のテクニックもありますし、僕の経験をお話ししているため、本の論旨に沿っていない部分があります。

あらかじめ、ご了承ください。

では、早速内容に入っていきましょう!

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大学入試と大学院入試の違い

具体的な対策の前に、まずは知るところから始めましょう。

大学院入試が大学入試と比べて、次のような特徴があります。

  • 倍率が低い
  • ひねった問題が少ない
  • 過去問の模範解答は、基本的にない

倍率(志願者数/合格者数)が低い

一般的に、大学入試の方が倍率が高いです。

例えば、2021年度入学生について見てみると、東京大学の場合、大学の理科一類が2.66、理科二類が3.63であるのに対し、大学院の理学系は1.78と低くなっています。

同様に、東京工業大学の場合でも、大学(理学院)で4.12、大学院(理学院)で1.73となっています。

ここで挙げた東京大学、東京工業大学は、比較的倍率が高い方なので、他の大学院だと、1.4くらいのところが多いと思います。

ひねった問題が少ない

大学入試の二次だと、全く手が付けられない問題が出されることがありますが、大学院入試でそういうことはあまりないように思います。

基本的には、教科書の練習問題に少し毛が生えたようなイメージです。

ただし、より限られた人数で作る都合上、作成者のクセが出る可能性があります。

院試は、内部生の方が有利だと、しばしば言われますが、その理由の一つにこれがあると思います。

入試問題の形式が、講義の試験と似てしまうということがあるので、他大生は過去問の形式をよく見ておく必要があります。

過去問の模範解答は、基本的にない

大学院入試の過去問は、研究科のHPで公開されていることが多いですが、そのほとんどには模範解答が付いていません。

そのため、解答がない状態で、問題を解くことになります。

他人に模範解答を作らせるという手もあるのですが、自分で教科書やノート、ネットで調べて、解答を作る方が自分の力になると思うので、自分で解答を作るようにしましょう。

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いちばん大事にしてほしいこと

それでは、院試に向けた対策についてお話ししていきます。

細かいテクニックもいいのですが、まず第一に考えてほしいある一点を、最初に言います。

それは「進学の目的を明らかにする」ということです。

これで点数が上がるという訳ではありませんが、大事なことなので、聞いてください。

あなたには、大学院へ進学する明確な目的はありますか?

中には、漠然としている人もいるでしょう。

しかし、最低2年間という時間と、100万円以上のお金を費やす以上、生半可な気持ちで進んで、後悔してほしくありません。

そこで、自分は何のために大学院へ進むのか、もう一度考えてみてください。

↓には、目的の例と、それについて僕の個人的な考えを載せています。

研究者になりたい!

→ぜひとも、目指してください!

特に、博士は経済的な支援がいろいろあるので、暇なときに調べてみると、いいと思います。

会社の技術職に就きたい!

→これは、アリです。

いちばん多い理由かもしれませんね。

ただし、日本の市場が将来的にどうなるのかわからないので、院試が終わって暇になった時に、税金や副業について調べてみては、いかがでしょうか。

学校の先生になりたい!

→これもアリですが、あまりおすすめしません。

大学院の単位をとることで取得できる専修免許は、管理職になるために必須です。

そのほか、昇進がしやすいとも言われています。

また、一部の名門私立になると、専修免許が必須のところがあるそうなので、そのために大学院進学を目指す価値はあると思います。

ただし、昨今のブラック労働環境を考えると、公立校の教員はあまりお勧めできません。

こちらの記事で、教育実習の体験などをお話ししています。

【コラム】大学で教職をとるべきか?教育現場の問題点、授業の概要、教育実習について解説!
新入生の中には、教職をとるかどうか迷いながら、とりあえず授業に出席してみている人も少なくないと思います。この記事では、実際に教職をとっていた者として、教員免許の必要性、教育現場の問題点、授業や実習の経験について、語ってみました。

化学が好きだから!

→あくまで個人的な意見ですが、これは微妙です。

仮に、修士で卒業する場合、入学してから就活が始まるまで、1年間しかありません。

この1年間は、授業と研究に集中することになるので、すぐに過ぎます。

目的をもう少し具体的にした方が良いと思います。

働くのを先延ばしにしたいから!

→これは僕のことなのですが、この理由での進学はお勧めできません。

これまでの話のとおり、大学院に行くことで有利になるのは、研究者か技術職、教師が主であり、いずれも労働者、すなわち雇われる立場になります。

日本は典型的な年功序列ですから、若いときの給与はさほど高くなりません。

そのため、進学によって生涯賃金を最大化しようとした場合には、50歳、60歳まで働く必要が出てきます。

つまり、働くのが嫌だからといって、先延ばしするほど、働かなくてはいけなくなります。

自分の好きなことで起業するなら、大学院の学位は必要ありませんので、もう一度考えてみることをお勧めします。

みんな行くから!

→これがいちばんダメな理由です。

みんながやっていることをやるのが正しいだろうと思ってしまう、この考え方の癖は、心理学の言葉で集団同調性バイアスと呼ばれます。

このバイアスによって、不合理な選択を無意識にしている可能性があるので、自分自身がどうしたいのかというのを、改めて考えてください。

ここで目的を再確認して、モチベーションにつなげていきましょう!

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院試に向けてすべきこと

では、ここからは細かい対策方法を考えていきます。

僕が考えた対策は、以下の通りです。

  • 面倒な書類手続きはすぐにやる
  • 去年の過去問に目を通す
  • 物理化学の教科書、ノートから始める
  • 教科書の文字を読む
  • 1位を目指せ!
  • 習ってない選択授業の内容は、人に聞くべし
  • 勉強は起きたらすぐ!
  • 勉強場所は図書館
  • コーヒー飲む
  • 背筋を伸ばす
  • ポモドーロテクニックを使う
  • 体を動かそう!
  • お昼は20分程度の昼寝or糖質制限をする
  • 睡眠を大切に

面倒な書類手続きはすぐにやる

大学院入試を受験するうえで、当たり前ですが、これが大事です。

願書を出したり、振込したり、いろいろな手続きをしないといけませんが、面倒だからと言って後回しにしていると、常に頭の片隅にそれが残ったまま、勉強に集中できなくなります。

面倒なことはさっさと終わらせて、勉強に集中できる態勢を整えましょう。

もちろん、いちばんヤバいのは、「出すの忘れてましたー!」というパターンなので、そうならないように気を付けてください。

去年の過去問に目を通す

本格的に勉強を始める前に、一度やってほしいのは、昨年の過去問を眺めるということです。

ここでは、実際に問題を解く必要はないので、一通り目を通して、問題の形式を確認してみてください。

具体的には、設問数はどれくらいで、どのくらいのスピードで解いていけば良いのか、計算問題と論述問題、穴埋め問題の割合、現段階でも解けそうな問題はどれくらいあるか、選択科目がある場合は、どれを解くかなどを考えてみてください。

そうやって、ある程度イメージを作ってから、勉強に取り掛かっていきます。

物理化学の教科書、ノートから始める

では、実際に勉強を始めていきましょう。

とは言っても、何から始めていいか、わからないという人もいるでしょう。

そんな時には、物理化学から始めることをお勧めします。

物理化学というのは、化学の基本ルール、文法のようなもので、たとえ有機化学の教科書の中でも、生成比や反応機構、測定原理などは物理化学の言葉で説明されています。

例えば、Diels Alder反応の機構は量子化学、分子内Williamsonエーテル合成法の反応速度は熱力学、NMRやIRの原理には、量子化学の基本的な考え方が必要になります。

逆に、有機化学がわかっていなくても、物理化学は理解できるので、先にやることをお勧めします。

先に有機化学などの暗記系をやってしまうと、暗記系以外をやっている間に、忘れてしまうということも考えられますので、この順番はお勧めしません。

物理化学の書籍については、こちらの記事でおすすめを紹介しております。

【大学の物理化学】おすすめの教科書、参考書、問題集全9選まとめ!!(高校生向けもあります!)
大学の図書館の中からおすすめの物理化学の本をピックアップしてみました。書店や図書館に行った際には、ぜひ手に取ってみてください!

教科書の文字を読む

教科書で勉強するときに、意識してほしいことがあります。

それは、教科書を文字を読むということです。

教科書を開いたときに、まず目が行くのは絵やグラフです。

その次に目が行くのは、数式でしょう。

これらを見ただけで、つい理解した気になってしまいがちなのですが、このままでは論述問題に太刀打ちできませんし、間違った解釈をしている可能性もあります。

そのため、教科書の文字を丁寧に読むということを、ぜひ意識してみてください。

ノートに自分の言葉でまとめてみるのも、お勧めです。

1位を目指せ!

次に心構えについてです。

先ほども申しましたとおり、大学院入試は大学入試に比べると倍率が低く、ライバルも少ないです。

つまり、1位になれる可能性がより高いということです。

何より、1位を目指していて、落ちるということはなかなか起こりません。

「6割位取れれば、合格できるだろう」などと考える人が、必ずいるからです。

本気で1位を目指していきましょう。

習ってない選択授業の内容は、人に聞くべし

試験範囲の中には、必修ではない講義の内容が含まれていて、習ってないということもあり得ます。

そういった場合は、人に聞くようにしてください。

友達でも研究室の先輩でも構いません。

教科書を読むより早いですし、授業でどれくらい深く習ったのかをつかむこともできます。

勉強は起きたらすぐ!

次に、勉強する時間帯についてです。

おすすめは、朝起きてすぐ取り掛かることです。

朝イチの行動が、1日を決めると思って、決してスマホやテレビは見ないようにしましょう。

過去問をやる場合は、紙に印刷しましょう。

ネットでの調べ物は、スマホよりはPCの方が、誘惑が少なくておすすめです。

起きてすぐ勉強できるようにするためには、勉強机に教科書等を広げた状態で寝るということも有効です。

勉強場所は図書館

家だと集中できないという人は、多いでしょう。

図書館なら、静かな環境とたくさんの参考書という恵まれた環境で、集中できると思います。

そして何より、答え付きの問題集があるということが、大きいです。

ぜひ、活用してみてください。

先ほど、起きてすぐ勉強しろとは申しましたが、さすがに図書館で寝るわけにもいかないので、朝起きてから2時間は家→そこから外出準備30分→図書館へ出発という流れがいいと思います。

コーヒー飲む

朝起きて90分後と寝る7時間前を避けて、2~3杯のコーヒーを飲むことで、集中力が上がります。

僕もコーヒーは嫌いですが、毎日飲むようにしています。

背筋を伸ばす

姿勢は大切です。

姿勢が暮れていたことに気づいたら、背筋を伸ばすことを意識しましょう。

ポモドーロテクニックを使う

この言葉を聞いたことない方も多いかと思いますが、これは、最大限に集中するために、編み出された方法です。

その方法とは、25分間集中して、5分間休憩、これを繰り返すというものです。

人間の集中力は長時間持続しないので、こまめに休憩をはさむということです。

YouTube上でも、ポモドーロタイマーという名前で、作業用動画がたくさんありますので、ぜひ活用してみてください。

体を動かそう!

周りに人がいないときは筋トレ、ポモドーロの休憩中には、背伸びなどのストレッチ、長めの休憩の時には散歩、というように体を動かすことで、リラックス効果や疲労感を感じにくくする効果があります。

散歩は、自然の緑があるところがおすすめです。

ぜひ、取り入れてみてください。

お昼は20分程度の昼寝or糖質制限をする

お昼に眠くなる人が多いと思いますが、眠いときには15~20分程度の短い仮眠をとるのが、おすすめです。

カフェインの効果が現れるのは、摂取してから30分後なので、コーヒーを飲んでから20分仮眠をとることで、さらに頭がすっきりするそうです。

なかなか眠れない人もいるかと思いますが、机に伏せて何もしないというだけでも効果はあるそうなので、ぜひやってみてください。

また、この睡魔の正体は血糖値の乱高下なので、お昼ご飯の糖質を制限することも有効です。

これは僕の経験ですが、お昼ご飯を食べなければ、眠くならなかったので、仮眠をとらなくても頭が動くようになりました。

ご飯を食べる代わりに、ミックスナッツを食べたら、意外にごまかせるので、もの好きな人は、お昼ご飯を抜いてみてください(笑)

睡眠を大切に

睡眠にはサイクルがあり、浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠を、90分(個人差あり)というサイクルで繰り返します。

レム睡眠から目覚めたほうがすっきりするため、6時間や7時間半、9時間など、90分の整数倍にあたる睡眠時間にするという方法があります。

そのためには、寝る時刻を決めておくこともおすすめです。

また、寝る前にブルーライトを浴びることで、睡眠が浅くなるということが報告されているため、夜のスマホは控えてください。

夕方なら、まだ大丈夫だと思います。

おまけ

先日、部屋を掃除していたら、僕が院試対策で作ったノートが出てきました。

これは、本番直前に見ておきたかった、暗記系とマニアック系の知識をまとめたものです。

このまま捨てるのもなんなので、ここからダウンロードできるようにしておきます。

有機化学

物理化学

高分子科学

物理化学、有機化学、高分子科学の勉強の役に立てば、幸いです。

書いてあることが完璧に正しい保証はないので、裏付けをとりながら見ていただければと思います。

この記事を見終わったら

今回の内容は、以上になります。

お疲れさまでした。

ここで、この記事を読んでいただいたあなたに、僕から最後のお願いがあります。

今がいちばんモチベーションが高いときなので、今のうちに次のアクションを起こしてください。

  • 今が朝なら、YouTube上で「ポモドーロ」と検索、すぐに勉強を始めてください。
  • 今が昼なら、20分昼寝をしてから、勉強してください。
  • 今が夜なら、教科書等を勉強机に広げてから、すぐに寝てください。

やる気にならない人も、無理やり始めれば、そのうちやる気になってきます。

心の中で、3秒カウントダウンして、「0」でとにかく始めてください!

それでは、ここまでお付き合いいただき、どうもありがとうございました!

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