こんにちは!
化学メーカーで研究職をしている沢渡です。
前回 (下の記事) までで「性消」の科目の解説が終わりましたので、今回はそのまとめとして問題演習を行いたいと思います。
今回のテーマはこちら!
今回の動画シートCertified Hazardous Material Handling Supervisor_ Practice_ type Ⅰ~ Ⅵ hazardous substances .pdf
動画はこちら↓
それでは、以下の練習問題を解いてみてください。
今回のように、覚えていればすぐに解ける問題は、どんなに遅くても\(1\)分半以内には回答できるようになりましょう。
練習問題
類に共通する性状について
危険物の類ごとの共通の性状として、正しいものはどれか?
(\(1\)) 第二類危険物は、着火の危険性はあるが、引火の危険性はない
(\(2\)) 第一類危険物は、不燃性であり、それ自体は燃焼しない
(\(3\)) 第三類危険物は、水と接触すると発熱し、発火する
(\(4\)) 第五類危険物は、酸素含有物質であり、酸化性を有する
(\(5\)) 第六類危険物は、強酸であり、腐食性を有する
(\(1\)) は誤りです。
第二類危険物は、着火または引火の危険性がある固体です。
例としては、鉄粉は着火の危険性があり、固形アルコールは引火の危険性があります。
(\(3\)) も誤りです。
第三類危険物のうち、ナトリウムやアルキルアルミニウムは、水と接触して発熱・発火しますが、黄りんは水と反応しません。
従って、共通の性状とはいえません。
(\(4\)) も誤りです。
第五類危険物の多くが酸素含有物質ですが、アジ化ナトリウムのようにそうでないものもあります。
また、第五類危険物に酸化性はありません。
(\(5\)) も誤りです。
第六類危険物の全てが強酸性物質ではありません。
過酸化水素は弱酸です。
貯蔵方法について
次の物質のうち、貯蔵容器の栓に通気のための穴を設けなければならないのはどれか?
(\(1\)) アルキルアルミニウム
(\(2\)) ベンゼン
(\(3\)) エタノール
(\(4\)) 硝酸エチル
(\(5\)) 過酸化水素
過酸化水素は 分解して酸素が発生すると、内圧が上昇して危険なため、栓に通気のための穴を開けておく必要があります。
(\(1\)) は誤りです。
アルキルアルミニウムは自然発火性および禁水性物質のため、不活性ガスの中で貯蔵し、空気や水と絶対に接触させてはいけません。
(\(2\)) も誤りです。
ベンゼンの蒸気には毒性があるため、外部へ漏らしてはいけません。
(\(3\)) も誤りです。
エタノールの蒸気は、外部へ漏らしてはいけません。
(\(4\)) も誤りです。
硝酸エチルは引火性で爆発しやすいです。
従って、容器に密栓して貯蔵する必要があります。
各類の危険物に対する消火方法について
各類の危険物に対する代表的な消火方法として、不適切なものはどれか?
(\(1\)) 第一類危険物の火災には、水で分解温度を下げる方法が一般的によく用いられる
(\(2\)) 第二類危険物の火災には、注水消火が有効であるが、注水できないものある
(\(3\)) 第四類危険物の火災には、窒息消火が行われる
(\(4\)) 第三類危険の火災には、一般に注水ができないので、泡による消火が行われる
(\(5\)) 第五類危険物の火災には、大量の水による消火が行われる
第三類危険物のうち、禁水性物質には水系の消火剤は使用できません。
泡消火剤は水を含んでいるため不適当です。
(\(1\)) は正しいです。
塩素酸塩類などには注水消火が有効ですが、アルカリ金属やアルカリ土類金属は、水と反応して酸素と熱を発生するため、注水は避けて、乾燥砂の使用が適切です。
(\(2\)) も正しいです。
赤りん、硫黄などには注水消火が有効ですが、金属粉、マグネシウムは水と反応するため、注水は不適当です。
金属火災用粉末消火剤や乾燥砂の使用が適切です。
(\(3\)) も正しいです。
(\(5\)) も正しいです。
第五類危険物の多くは可燃物と酸素供給減が共存しているため、自己燃焼性があり、単なる窒息消火は意味がありません。
大量の水で冷却するか、泡消火剤を用いて消火します。
第一類危険物の性状について
次に掲げる第一類危険物の性状として、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 過酸化ナトリウムは、純粋なものは白色であるが、普通は黄白色の粉末である
(\(2\)) 三酸化クロムは、暗赤色の針状結晶であり、水を加えると腐食性の酸になる
(\(3\)) 硝酸カリウムは、無色の結晶であり、吸湿性や潮解性を持つため、固化する傾向がある
(\(4\)) 過マンガン酸カリウムは、黒紫色または赤紫色の結晶であり、約 \(200^\circ \rm{C}\)\(\) で分解する
(\(5\)) 塩素酸カリウムは、無色の結晶または白色の粉末であり、赤りんや硫黄との混合物は、わずかな刺激で爆発する危険性がある
硝酸カリウムには、吸湿性および潮解性はなく、固化もしません。
(\(1\)) , (\(2\)), (\(4\)) , (\(5\)) は 正しいです。
硫黄の性状について
硫黄の性状として、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 水より重い
(\(2\)) 摩擦などにより発生する静電気は、放電することがある
(\(3\)) 粉末状のものは、空気中で飛散すると粉塵爆発の危険がある
(\(4\)) 加熱により約 \(80^\circ \rm{C}\)\(\) で溶融し始める
(\(5\)) 青い炎をあげて燃える
硫黄の融点は \(113\sim 119^\circ \rm{C}\)\(\) のため、約 \(80^\circ \rm{C}\)\(\)では溶融し始めません。
(\(1\)) ~ (\(3\)) , (\(5\)) は正しいです。
第三類危険物の性状について
第三類危険物の性状として、誤っているものはどれか?
(\(1\)) ハロゲン元素と激しく反応する
(\(2\)) ほとんどのものは、自然発火性と禁水性の両方の性質を持っている
(\(3\)) 可燃性の物質、不燃性の物質がある
(\(4\)) 水と接触すると酸化物を生じ、強い酸性を示す
(\(5\)) 常温において、固体のものと液体のものの両方が存在する
第三類危険物は、水と接触すると水酸化物を生じ、その水溶液は強い塩基性を示します。
(\(1\)) は正しいです。
第三類危険物のカリウム、リチウムなどはハロゲン元素と激しく反応します。
(\(2\)) も正しいです。
例外として、自然発火性のみは黄りん、禁水性のみはリチウムがあります。
(\(3\)) も正しいです。
可燃性物質としては、ナトリウム、アルキルアルミニウムなどがあり、不燃性物質としては、炭化カルシウムなどがあります。
(\(5\)) も正しいです。
固体のものとしてはナトリウム、カリウムがあり、液体ものとしては、ジエチル亜鉛があります。
アセトアルデヒドの性状について
アセトアルデヒドの性状として、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 無色透明の液体である
(\(2\)) 沸点は \(20^\circ \rm{C}\)\(\)であり、非常に低い
(\(3\)) 酸化すると酢酸を生じる
(\(4\)) 水に溶けない
(\(5\)) 還元するとエタノールを生成する
アセトアルデヒドは水溶性で、水によく溶けます。
(\(1\)) , (\(2\)) は正しいです。
(\(3\)), (\(5\)) も正しいです。
アセトアルデヒドは還元するとエタノールに、酸化すると酢酸になります。
第五類危険物の火災予防と消火方法について
第五類危険物の火災予防と消火方法について、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 燃焼の抑制作用があるハロゲン化物消火剤が使われる
(\(2\)) 大量の水による冷却する方法が一般的である
(\(3\)) 分解しやすいものは、室温、湿気、通風に注意する
(\(4\)) 貯蔵する際は、必要最小限の量とする
(\(5\)) 取り扱う際、衝撃、摩擦などを避ける
第五類危険物は、一般に可燃物と酸素供給減が共存している物質のため、ハロゲン化物のような周りの空気を遮断する窒息消火は、意味がありません。
(\(2\)) ~ (\(5\)) は 正しいです。
硝酸の貯蔵・取り扱いについて
硝酸の貯蔵・取り扱いについて、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 光により分解して、腐食性の二酸化窒素を発生する
(\(2\)) 腐食性があるため、ステンレス鋼製容器による貯蔵は避ける
(\(3\)) 強い酸化力を有するので、可燃物、還元物質と接触しないようにする
(\(4\)) 鉄、ニッケル、クロムは、希硝酸に侵されるため貯蔵容器として使用できない
(\(5\)) 腐食作用が強く、生体に対し有毒である
硝酸は金属を腐食させるため、ステンレス鋼やアルミニウムの容器に貯蔵する必要があります。
(\(1\)), (\(3\)) ~ (\(5\)) は 正しいです。
二硫化炭素の性状について
二硫化炭素の性状として、誤っているものはどれか?
(\(1\)) 発火点は \(100^\circ \rm{C}\)\(\) より低い
(\(2\)) 無色透明の液体である
(\(3\)) 水には溶けないが、エタノールやジエチルエーテルに溶ける
(\(4\)) 保存方法は水中保存である
(\(5\)) 燃焼に際しては、有毒な硫化水素を発生する
二硫化炭素は燃焼すると、二酸化硫黄を生じます。
(\(1\)) ~ (\(4\)) は正しいです。
まとめ
今回の記事の内容は以上となります。
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