【大学の有機化学】アルデヒドとケトンで起こる付加反応などについて、わかりやすく解説!

こんにちは!

それでは今日も化学のお話やっていきます。

今回のテーマはこちら!

アルデヒドやケトンの\(\displaystyle \rm{C=O}\)\(\)結合に対する付加を考えよう!

動画はこちら↓

(現在、準備中です。)

動画で使ったシートはこちら(aldehyde reaction)

それでは内容に入っていきます!

[PR]

アルデヒドとケトンの合成法

まず、アルデヒドとケトンの合成法についてですが、新しい内容はほとんどありません。

空気酸化

ベンジル位など反応性の高い部位であれば、空気による酸化でカルボニルを作れることがあります。

アルコールの酸化

また、酸性水溶液中で6価のクロム反応剤を使うと、第二級アルコールが酸化されてケトンができます。

第一級アルコールに対しては、水が存在することによりアルデヒドで酸化が止まらず、カルボン酸ができます。

アルデヒドまでで酸化を止めるためには、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を使う方法があります。

ジメチルホルムアミド(DMF)ではない溶媒中で二クロム酸ピリジニウム(PDC)を使う方法もあり、こちらは中性条件でアルデヒドを作ることができます。

二酸化マンガンを使って、アリル位にあるヒドロキシ基だけを選択的に酸化する方法もあります。

オゾン分解

アルケンの話のときにお話ししたオゾン分解でも、生成物はケトンやアルデヒドになります。

アルキンの水和

アルキンに1つの水分子が付加した場合も、エノールができた後、より安定なカルボニルへ平衡が傾きます。

Friedel-Craftsアシル化

Friedel-Craftsアシル化でも、生成物はフェニルケトン(フェノン)になります。

これに限らず、酸クロライドは反応性の高い化学種なので、さまざまな物質と反応を起こし、カルボニル化合物を作ります。

アルデヒドの検出

ここからは、ケトンやアルデヒドで起こる反応について見ていきます。

まず、アルデヒドの存在を視覚的に確かめる方法についての話です。

高校で習う話なので、さらっとやります。

アルデヒドは酸化されやすい化学種であり、還元作用があります。

Tollens試験

1つ目のTollens試験は、高校で習う銀鏡反応です。

硝酸銀などの銀イオンが還元されて銀となり、試験管の壁面に付着します。

この反応は、アルデヒドの検出方法というよりもガラス鏡の製造や銀メッキの方法としてよく使われています。

Fehling試験

2つ目のFehling試験は、2価の銅イオンが還元されて、赤褐色沈殿の酸化銅(I)が得られる反応です。

酒石酸塩を加えるのは、水酸化銅の沈殿ができるのを抑制するためです。

\(\displaystyle \rm{C=O}\)\(\)結合への付加反応

次に、ケトンおよびアルデヒドの\(\rm{C=O}\)二重結合で起こる付加反応について、お話しします。

前回もお話ししたとおり、炭素原子は正、酸素原子は負に大きく分極しているので、反応剤の極性が高く求核性も大きいときには、イオン的に付加が進行します。

ヒドリド還元剤や有機金属反応剤との反応がこれにあたります。

水の付加(水和)

一方で、水のように求核性が低い物質が付加するときには、水酸化物イオンが触媒となる場合とプロトンが触媒となる場合で2通りの反応機構があります。

まず、塩基性条件では、水酸化物イオンがカルボニル炭素に求核攻撃し、ヒドロキシアルコキシドが中間体としてできます。

これが水分子からプロトンを引き抜くことでカルボニル水和物であるジェミナルジオールとなります。

一方の酸性条件では、始めにカルボニル酸素上の孤立電子対がプロトンへ供与されることで、カルボニル炭素がより求電子的になります。

ここへ水分子が求核攻撃した後、他の水分子によってプロトンが引き抜かれて水和物となります。

カルボニル化合物の熱力学的な安定性は、カルボカチオンやアルケンと同様に誘起効果や共鳴効果が関係してきます。

アルキル基をもたないホルムアルデヒドや電子求引性基をもつアルデヒドは不安定であるため、平衡は右へと傾きます。

普通のアルキル基を1つもったアルデヒドでは平衡定数は\(1\)に近い値となり、ケトンでは平衡が左へと傾きます。

カルボニルの共役酸の\(\rm{p}\mathit{K}_\rm{a}\)は\(-8\sim -7\)程度なので、ほとんどの分子はプロトン化していない状態で存在していることになります。

また、塩基性条件での求核剤が水酸化物イオンであるのに対して、酸性条件では求核性の小さな水であるので、この違いが反応速度に差を生じさせます。

これは、タンパク質の加水分解速度に関しても同じことが言えて、例えば溶液が目に入ってすぐに洗ったとき、明らかに酸よりも塩基のほうが失明リスクが高くなります。

そして、最終的に生成したジェミナルジオールですが、簡単に脱水してカルボニルに戻ってしまうため、単離は不可能とされています。

そのため、あくまで中間体としてのみ存在する化学種だと考えてください。

アルコールの付加

続いて、アルコールの付加反応ですが、アルコールもそれ自体は優れた求核剤ではないので、酸触媒もしくは塩基触媒で付加が起こります。

カルボニルにアルコールが付加すると、ヘミアセタールができます。

さらに酸性の場合は、ヒドロキシ基がアルコキシ基に置換されてアセタールとなります。

ここの反応は、ヒドロキシ基がプロトン化した後、\(\rm{S_N}1\)の機構で起こります。

反応物であるアルコールを多く加えたり、副生成物の水を除去することによって、平衡を右に傾けることができます。

水和とは異なり、触媒である酸を中和によって取り除くことで、最終生成物であるアセタールは単離が可能です。

中間体のヘミアセタールについては、基本的には単離ができませんが、カルボニルの反応性が高いとき、または安定な五員環や六員環を形成するときには単離可能なことがあります。

ブドウ糖として知られるグルコースは、最も身近な環状ヘミアセタールの1つです。

環状アセタールによるカルボニルの保護

また、非環状アセタールの生成にはアルコールの分子が2つ必要なのに対して、環状アセタールの生成にはジオールが1分子必要となります。

この違いにより、環状アセタールの生成は、非環状アセタールよりもエントロピー的に有利となります。

また、アセタールになることで、\(\rm{sp}^2\)混成から\(\rm{sp}^3\)混成になると同時に、炭素原子が正電荷をもつような共鳴構造がなくなります。

その結果、有機金属反応剤、ヒドリド反応剤、その他の塩基性反応剤からの求核攻撃を受けなくなります。

この違いを利用して、カルボニルがこれら塩基性反応剤と反応しないように、いったん環状アセタールにすることがあります。

こちらが、保護を行った反応の例です。

リチウム反応剤で、ヨード基をアルキニル基に求核置換したいのですが、そのまま反応させるとカルボニルへの求核攻撃のほうが速く進行し、ハロアルコールが大量にできてしまいます。

こういった場合に、酸性条件下でエチレングリコールを加えて、カルボニルを保護します。

カルボニルに戻したいときには、酸性条件で水を加えます。

環状アセタールは\(\alpha\)位の反応性も低下させるので、この反応例では、プロトン引き抜きも起こらないようにしています。

一応、環状アセタールで保護せずに、ハロゲンを狙って求核置換する方法もあるので、ここで紹介しておきます。

環状チオアセタール化

そして、ジオールの硫黄類縁体であるジチオールでもカルボニルの保護が可能です。

生成する環状チオアセタールは、酸性水溶液中でも脱保護されないので、環状アセタールが使えない場面でも使えることがあります。

また、酸性条件にしない場合でも、同一分子内に存在する2つ以上のカルボニルを異なるタイミングで脱保護するために利用できます。

反対に、環状チオアセタール化の欠点としては、脱保護に有毒な水銀の化合物が必要になるということです。

チオアセタールは保護以外にも、Raney-Ni存在下で水素と反応させることで、メチレン基への還元に利用できます。

この反応を、チオアセタールの脱硫還元といいます。

アンモニア・アミンの付加

続いて、アンモニアおよびアミンがカルボニルに付加する場合についてお話します。

まず、アンモニアと第一級アミンが酸性条件下でカルボニルと反応すると、ヘミアミナール中間体を経由し、炭素原子と窒素原子の間に二重結合をもつイミンという化合物になります。

この二重結合の形成には、窒素原子に結合した水素原子2つの脱離が必要であるため、第二級アミンについては、イミンとなりません。

代わりに、ケトンやアルデヒドがもつ\(\alpha\)水素が1つ脱離するときにエナミンという化合物ができます。

ヒドラジンの付加とWolff-Kishner還元

ヒドラジンとの反応では、ヒドラゾンという化合物となり、これを高温条件下で塩基で処理することで、メチレン基への還元ができます。

この反応をWolff-Kishner還元といいます。

こちらに示したのが反応機構です。

水酸化物イオンが触媒となり、窒素分子が脱離していく過程で、炭素原子は2つの水素原子と結合を形成します。

ただし、実際にWolff-Kishner還元をするときには、ヒドラゾンを単離せずに1つの反応系で起こすことが多いです。

カルボニル還元法の選び方

ここまで、カルボニルの還元方法をいくつも紹介してきましたが、それぞれ条件が違うので、その場面において適切な方法を選ぶ必要があります。

例えば、Wolff-Kishner還元は塩基性条件ですが、塩基で外れるような保護基がある場合や加水分解しそうな部位があるときには使いにくいです。

また、高温条件でもあるので、熱力学的に不安定な構造をもつ場合も注意が必要です。

酸性条件なら、Clemmensen還元がありますが、毒性のある亜鉛アマルガムを使うので、あまりやりたくない反応です。

テストなら起こりうる副反応だけ考えればいいですが、実際に反応を起こすときには反応物や触媒や副生成物の毒性、さらにはコストも考えながら、適切な方法を選ぶのがベストです。

シアン化水素の付加

次に、シアン化水素の付加反応を紹介します。

優れた求核剤であるシアン化物イオンは、カルボニルへ求核攻撃して、シアノヒドリンを生成します。

この反応は、炭素-炭素結合を形成する反応としても有用です。

ただし、シアン化水素の毒性が強いので、実際にはシアン化ナトリウムと濃塩酸を使うのが一般的です。

Wittig反応

最後に紹介する付加反応は、リンイリドという化合物との反応です。

これはWittig反応という名前がついている反応です。

まず、リンイリドは次のような手順で作られます。

ハロアルカンにトリフェニルホスフィンを求核置換させてホスニウム塩とした後、アルキルリチウムなどの強塩基でプロトンを引き抜くことで、炭素原子とリン原子の間に二重結合が形成されます。

この構造をもつのがリンイリドです。

これがカルボニルに付加すると、最終的にはアルケンができることになります。

つまりWittig反応は、カルボニルの\(\rm{C=O}\)結合を\(\rm{C=C}\)結合に変える反応だということです。

同じくアルケンが生成する脱離反応との違いは、二重結合の位置が変わらないということです。

脱離反応では、どこのプロトンが脱離するかによって、複数の構造異性体の混合物が得られる可能性がありますが、Wittig反応では酸素やリンが二重結合を作っている炭素原子間で二重結合が形成されるので、単純な生成物となります。

これが反応機構です。

リンイリドの負に分極した炭素原子からカルボニル炭素へ求核攻撃が起こった後、電子移動により四員環を形成します。

ここからさらに電子移動が起こることで、トリフェニルホスフィンオキシドが脱離し、アルケンができます。

どちらの幾何異性体が多く生成するかは、用いるリンイリドがリンを含む\(\pi\)電子共役系となっているかどうかでかわります。

非共役イリドの場合、得られるアルケンはシスまたは\(Z\)選択的となり、共役イリドの場合はトランスまたは\(E\)選択的となります。

共役イリドを用いたWittig反応は、レチノール(ビタミンA)の化学合成に利用されます。

Baeyer-Villiger酸化

最後に、付加反応ではないですが、Baeyer-Villiger酸化という反応を紹介します。

これは、ケトンをエステルに変換する反応です。

ケトンにペルオキシカルボン酸を反応させると、図のような電子移動が起こり、エステルとカルボン酸が生成します。

ケトンに炭素どうしの二重結合があった場合、オキサシクロプロパン環が形成される可能性が考えられますが、その場合でもカルボニルとの反応のほうが起こりやすいので、気にしなくて大丈夫です。

酸素原子がどちらのアルキル基側へ入るのかというのは、アルキル基の転位傾向によって決まります。

つまり、メチル基側よりもフェニル基側や第三級のアルキル基側へ酸素原子が入りやすいです。

練習問題

ここまでの内容を踏まえて、1つ練習問題をやってみましょう。

こちらに示した化合物をベンゼンから作る合成戦略を作ってみてください。

まずは、生成物の構造から逆算していきます。

エステルを作るためには、脱水縮合かBaeyer-Villiger酸化のどちらかが使えそうなので、とりあえずヒドロキシアルデヒドとしています。

六員環の形成には、Wittig反応やGrignard反応が使えるかなと考えています。

そうすると、カルボニルが3つか4つ存在するような構造が見えてきたので、保護や還元をタイミングよくやっていく必要がありそうだとわかります。

とりあえず2つのカルボニルに関しては、オゾン分解であとから作ることを想定しました。

そして、これが僕の考えた合成経路です。

合成が専門ではなかったので、もしかしたら副反応でうまくいかないところがあるかもしれません。

詳しい方いましたら、ぜひご指摘ください。

また、教科書に載ってない反応を使えば、もっといい経路があると思うので、そういうのを調べてみるのもいいと思います。

まとめ

今回の内容は以上です。

間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、X(https://x.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。

それではどうもありがとうございました!

タイトルとURLをコピーしました