こんにちは!
それでは今日も化学のお話やっていきます。
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動画で使ったシートはこちら(aldehyde name)
それでは内容に入っていきます!
命名法
まず、アルデヒドとは\(\rm{C=O}\)結合(カルボニル)があって、その炭素原子には水素原子が結合している構造を有する化合物のことです。
ケトンは、カルボニル炭素に2つのアルキル基がついた構造をしている化合物を指します。
アルデヒドの命名法
アルデヒドのIUPAC名は、同じ炭素数のアルカンの語尾にあるeをalに置き換えたものです。
炭素数\(1\)ならメタナール、炭素数\(2\)ならエタナールとなります。

ただし、これらの化合物はそれぞれホルムアルデヒド、アセトアルデヒドという慣用名があり、こちらで呼ぶことがほとんどです。
ホルムアルデヒドは、殺菌剤や消毒剤としての用途があります。
英語で、対応するカルボン酸の慣用名の語尾にあるic acidをaldehydeに置き換えたものがアルデヒドの慣用名になります。
そして、\(\rm{CHO}\)が環に結合している場合には、カルボアルデヒドとして命名します。
結合しているのがシクロヘキサンならシクロヘキサンカルボアルデヒド、ベンゼンならベンゼンカルボアルデヒドとなります。
ベンゼンカルボアルデヒドはベンズアルデヒドとも呼ばれます。
ケトンの命名法
続いて、ケトンのIUPAC名は、同じ炭素数のアルカンの語尾にあるeをoneに置き換えたものになります。
炭素数が\(3\)ならプロパノン、炭素数が\(4\)ならブタノンとなります。

ただし、これらにも慣用名があり、それぞれアセトン、エチルメチルケトンと呼ばれることのほうが多いです。
カルボニル炭素にベンゼン環が結合している場合には、ベンゼン環をフェニル基として命名します。
また、これらフェニルケトン類には、フェノンという慣用名で呼ばれるものがあります。
別の官能基をもつ場合
同じ炭素骨格に別の官能基がある場合、カルボニル基はこれまで紹介してきた置換基のどれよりも優先されます。
したがって、ヒドロキシ基や二重結合を有している場合も、アルコールやアルケンではなく、ケトンやアルデヒドとして命名します。

このとき、カルボニル炭素の位置番号は、できるだけ小さな数字になるようにします。
よって、カルボニル炭素を1つ有する環構造では、カルボニル炭素が\(\rm{C}1\)となります。
\(\rm{CHO}\)と\(\rm{COOH}\)が両方ある場合には、\(\rm{COOH}\)が優先されるので、\(\rm{CHO}\)をホルミル基という置換基として扱います。

ケトンとアルデヒドでは、アルデヒドが優先されるので、ケトンの\(\rm{=O}\)はオキソ基として扱います。
\(\rm{CHO}\)が2つある場合にはジアール、アルキル基2つに結合した\(\rm{C=O}\)が2つある場合にはジオンと命名します。
カルボニル基の構造と物性
カルボニル炭素は\(\rm{sp}^2\)混成であり、そこに結合している原子は同一平面上に位置しています。


アルケンの\(\rm{C=C}\)結合との違いは主に2つあり、酸素原子上に孤立電子対が存在していることと電気陰性度に差があるということです。

これら2つの違いにより、カルボニルでは大きな分極が起こります。
その結果、炭素原子は求電子的に、酸素原子は求核的になるため、カルボニル周辺は化学反応が起こりやすい位置だと言えます。
この分極の影響で、永久双極子どうしの分子間相互作用が生じるため、アルデヒドやケトンの沸点は、同じ炭素数のアルカンに比べて高くなります。

また、大きなアルキル基をもたないカルボニル化合物は水と混ざりやすい性質をもちます。
分光法による同定方法
ここからは、分光学的な測定によって、いかにアルデヒドやケトンを判別するのかという話をしていきます。
¹H-NMR
まず、¹H-NMRについてです。
ホルミル水素は\(9\sim 10\ \rm{ppm}\)という特有の化学シフトを示します。

これは、アルケンでも見られた局部磁場の影響に加えて、正に分極したカルボニル炭素の影響も受けるためです。
そして、カルボニルに隣接した炭素に結合している水素(\(\alpha\)水素)のピークは、\(\delta=2.0\sim 2.8\ \rm{ppm}\)の領域に現れます。

ホルミル水素と\(\alpha\)水素の間では、カップリング定数\(J=2\ \rm{Hz}\)の小さなカップリングが見られます。
¹³C-NMR
続いて、¹³C-NMRについてです。
強く反遮蔽化されたカルボニル炭素のピークは、\(\delta=200\ \rm{ppm}\)あたりに現れます。


そのほかの炭素原子も、一般的にはカルボニル炭素に近いほど強く反遮蔽化されます。
IR
IRについては、\(\rm{C=O}\)伸縮振動に対応する吸収帯が吸収波数\(\tilde{\nu}=1690\sim 1750\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)の範囲に強く現れることから、カルボニルの存在を確かめる有用な手段となります。
さらに、カルボニル化合物の種類によって吸収波数は少し異なります。
共役系ではないアルデヒドの吸収帯は\(1735\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)、ケトンの吸収帯は\(1715\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)に現れます。
\(\pi\)電子系と共役する場合には、\(30\sim 40\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)程度小さくなります。
反対に、六員環より小さい環のカルボニル基については、吸収波数が増大するので、シクロブタノンは\(1780\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)、シクロペンタノンは\(1745\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)となります。
こちらが3-ペンタノンのIRスペクトルです。

アルキル基の\(\rm{C-H}\)伸縮振動の吸収帯が\(3000\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)より少し小さいところに見られるほか、\(1715\ \rm{cm}\)\(^{-1}\)あたりに\(\rm{C=O}\)伸縮振動の吸収帯が観測されます。
電子スペクトル
次に、紫外-可視分光法で観測される電子スペクトルについてです。
\(\pi\to\pi^\ast\)遷移に加えて、酸素原子上に非結合性の孤立電子対があることで、\(\rm{n}\)\(\to\pi^\ast\)遷移も起こります。

\(\rm{n}\)\(\to\pi^\ast\)遷移のほうがエネルギーが小さいため、吸収波長は長くなります。

また、禁制遷移であることから、その強度は小さいです。
\(\pi\)電子共役系になると、いずれも吸収波長は長くなります。
質量分析
最後に、分光法ではないですが、質量分析の話をします。
ラジカルカチオンは、カルボニル炭素と隣接する炭素との結合が切れやすいことが知られています。

これを\(\alpha\)開裂といいます。
ケトンの場合は、どちらのアルキル基がラジカルとして脱離するかによって、2種類のアシリウムカチオンが生成する可能性があります。
こちらに示したのは、左からそれぞれ2-ペンタノン、3-ペンタノン、3-メチル-2-ブタノンのMSです。

いずれも分子量は同じで、\(m/z=86\)の分子イオンピークが観測されます。
2-ペンタノンの場合は、メチル基が脱離した場合とn-プロピル基が脱離した場合のピークがそれぞれ\(m/z=71\)と\(m/z=43\)に観測されます。
3-ペンタノンの場合は、脱離するアルキル基がエチル基しかないので、\(m/z=57\)だけにピークが現れると予想されます。
実際には、エチルカチオンが生成する可能性もあるため、\(m/z=29\)のところにもピークが現れています。
後述しますが、このピークは、もう1つ別のカチオンにも由来しています。
3-メチル-2-ブタノンの場合は、2-ペンタノンの場合と同様に、メチル基とイソプロピル基の脱離が考えられ、\(m/z=71\)と\(m/z=43\)にピークが観測されます。
α開裂だけでは説明できないピーク
ここで、\(\alpha\)開裂だけでは説明しきれないピークについて、補足しておきます。
まず、3-ペンタノンの\(m/z=29\)のピークについてですが、これはエチルカチオンに加えて、ホルミルカチオンも部分的に由来しています。

プロピオ二ルカチオンからエチレン分子が脱離することで生じたものです。
遷移状態の構造については、詳しい情報が出てこなかったので、間違っているかもしれません。
そして、2-ペンタノンで観測された\(m/z=58\)のピークについては、ラジカルカチオンから図のように電子が移動することでエチレンが脱離して生じたアセトンエノールのラジカルカチオンに由来しています。

この反応をMcLafferty転位といいます。
これは、カルボニル炭素から3つ離れた炭素原子に結合した水素(\(\gamma\)水素)が存在するときのみ起こります。
したがって、3-メチル-2-ブタノンではMcLafferty転位は起こりません。
この違いによって、2-ペンタノンと3-メチル-2-ブタノンを判別することができます。
まとめ
今回の内容は以上です。
間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、X(https://x.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。
それではどうもありがとうございました!


