【大学の有機化学】アルコールとエーテルの硫黄類縁体(チオールとスルフィド)の命名法と物性

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こんにちはー!

今回も化学のお話やっていきます。

今回のテーマはこちら!

アルコールとエーテルの硫黄類縁体について、その命名法と物性の違いについて知ろう!

動画はこちら↓

動画で使ったシートはこちら(thiol sulfide name)

では参りましょう!

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アルコールの硫黄類縁体

では初めにアルコールの硫黄類縁体のことはチオールと呼びます。

慣用的にチオアルコールと呼ぶこともあります。

チオールの命名法

IUPACで名前を付けるときはアルコールだとolをつけてアルカノールとしましたが、チオールの場合はアルカンチオールと呼びます。

例えばこちらの左側の化合物は1-プロパンチオール、右側はシクロヘキサンチオールと呼びます。

また、1つの分子内にOHとSHがあった場合はOHが優先されてアルコールとして命名します。

その時SH基はメルカプト基もしくはスルファニル基スルフヒドリル基と呼びます。

そのため、この化合物は3-メルカプト-1-ペンタノールとなります。

チオールの物性

では続いて、このチオールの物性について考えていきましょう。

水素結合性が低い

チオールの特徴1つ目は水素結合性が低く、アルコールより沸点が低くなるという事です。

水素結合性が低くなるのは、硫黄原子の軌道が広がっていて安定化の効果が小さいことと、硫黄と水素の電気陰性度が近い値であるため、電子が一方に偏りにくいことが原因になっています。

そして水素結合性が低いことで、アルコールほど液体が安定ではないので、沸点はかなり低くなります。その値はむしろハロアルカンに近いと言われています。

酸性度が高い

そして、チオールの特徴2つ目は酸性度が高いという事です。

その原因になっているのはS-H結合が弱いという事です。

\(pK_a\)は小さいほど酸性度が高いという事ですが、アルコールが大体15~18という値を取るのに対し、チオールの\(pK_a\)は9~12と顕著な差があることが分かります。

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エーテルの硫黄類縁体

はい、では今度エーテルの硫黄類縁体についても見ていきましょう。これはスルフィド、またはチオエーテルという風に呼ばれます。

スルフィドの命名法

その命名法はまず、慣用名だとスルフィドと言いますが、IUPACの場合はアルキルチオアルカンとして名前を付けます。

RSの部分がアルキルチオ基です。

例えば、こちらの左側はIUPAC名でメチルチオエタン、慣用名でメチルエチルスルフィドといいます。右側は2メチルチオエタノールと呼びます。

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練習問題

はい、それでは本題は以上なので、最後練習問題をやって終わります。

次に示す3組の化学種のうち、酸性度が高いのはどっちでしょうかという問題です。

(1)はメタンチオールとメタノール、(2)は硫化水素イオンと水酸化物イオン、(3)は硫化水素とスルホニウムイオンという組み合わせです。

答え

(1)ではメタンチオール、(2)では硫化水素イオン、(3)ではスルホニウムイオンがより強い酸となります。

(1)、(2)はR-H結合の弱さ、(3)は硫化水素が弱塩基であることで共役酸は強塩基になるという、水に対するヒドロニウムイオンH3O+と同様の傾向になります。

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まとめ

それでは、今回の内容は以上ですので、最後、おさらいに入ります。

今回はアルコールとエーテルの硫黄類縁体であるチオールとスルフィドの命名法と物性についてお話ししました。

まず、チオールのIUPAC名はアルカンチオールといいます。

そしてSHを官能基として見る場合はメルカプト基と呼びます。

チオールはアルコールに比べると水素結合性が低いために沸点が低くいという特徴があり、それは硫黄原子の軌道の広がりが大きいことと、硫黄と水素の分極が小さいことが原因となっています。

また、S-H結合がそこまで強い結合ではないため、チオールの酸性度はアルコールより大きくなります。

そして、エーテルの類縁体であるスルフィドは慣用名ではスルフィド、IUPAC名ではアルキルチオアルカンとして名前を付けます。

今回の内容では物性まででしたが、次回の有機化学の記事ではこれらの反応を見ていきますので、そちらもぜひ見てください。

それではどうもありがとうございました!

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