こんにちはー!今回から一旦量子化学の話をお休みしまして数学の記事を出していきます。
という事で、今回のテーマはこちら!
ご存じの方も多いかと思いますが行列は以前は高校で習う内容だったこともあり、化学以外にもいろんな場面で役に立ちます。
僕がこれから書く内容は特に数学を専門にしない人でも使うような基本的な内容を扱いますので、行列について何も知らなくても理解いただける内容になっていると思います。
他にも行列に関する記事を書いていきますので、ぜひチェックしてみてください!
動画はこちら↓
動画で使ったシートはこちら(matrix rank)
では早速行きましょう!
行列とは
まず、行列とはというところから入っていきます。
行列とはこんな感じの物です。\(a\)というのがこの行列の成分で\(1\)と\(0\)とか何らかの値が入ります。
そして、各成分を横に見ていったものを行、縦に見ていったものを列と呼びます。
行列の呼び方は行の数を\(n\)、列の数を\(m\)として\(n\times m\)行列と呼びます。
例えばこの行列だと\(3\times 4\)行列と言います。
そして、例えば縦のベクトル\(\vec{a_i}\)をこの行列の左から\(i\)番目の列ベクトルとして定義しますとこの行列は\((\vec{a_1}, \vec{a_2}, \vec{a_3}, \vec{a_4})\)という形で表せることになります。
つまり\(n\times m\)行列と言うのは\(m\)個の\(n\)次列ベクトル群もしくは\(n\)個の\(m\)次行ベクトル群として考えることもできます。
特別な名前が付いている行列
そして行列の中にはその形によって特別な名前が与えられている物があるのでいくつか紹介します。
まず全ての成分が\(0\)となる行列のことを零行列と呼びます。とってもシンプルです。
これはスカラーだと\(0\)、ベクトルだと零ベクトルにあたるもので、行列の演算は別記事でやりますが、たとえば適当な行列と零行列をかけると零行列になります。
それで、こっちの行列は\(n\times n\)行列、つまり行の数と列の数が同じ行列になっています。
この行列は正方行列と呼びます。
そして、正方行列の中でもこんな風に対角線上の成分以外は全て\(0\)になる場合、これを対角行列と言います。
最後は三角行列と言うもので、これは正方行列のうち対角線より下側もしくは上側の成分が全て0になる行列です。
下側が\(0\)になるものは上三角行列、上側が\(0\)になるものは下三角行列と言います。
対角行列は上三角行列であり、なおかつ下三角行列でもあります。
行列の簡約化
それでは今回の動画で最も重要な簡約化という操作を説明します。
簡約化とは、行列の各行同士をスカラー倍して足したり引いたりすることで最終的に下の形に変形させるという操作になります。
この行列では、まず各行を左から見ていったときに\(0\)ではない成分は\(1\)になるようにします。そしてこの\(1\)と同じ列の成分は\(0\)になるようにします。
そして、この最初の\(1\)が左にある行ほど上側に持って行くことで、\(1\)をつないだ時に階段状になるようにします。
そして簡約化する前の行列によっては、一番下の行の成分が全て\(0\)になることもあります。
実際にやってみたほうが一発で分かるので、試しに簡約化をしてみましょう。
まず、2行目の成分は\(0\)、\(2\)、\(-2\)になっていて、左端を\(1\)にしたいので\(2\)で割って\(0\)、\(1\)、\(-1\)にしておきます。
そして、1列目は\((1,1)\)成分の\(1\)以外を\(0\)にしないといけないのでこの\(3\)を消すために3行目から\(3\)倍にした1行目を引きます。
これはまだ簡約化できたとは言えないので、さらにその行列をいじります。
じゃあ今度は2列目を\((2,2)\)成分の\(1\)以外が\(0\)になるように、1行目から2行目の3倍を引いて、3行目に\(7\)倍の2行目を足します。
そうしてできた行列に最後、\((3,3)\)成分を\(1\)にして\((1,3)\)成分と\((2,3)\)成分が\(0\)になるようにすると最終的に一番下の行列が得られました。
これは簡約化の話とは別ですが、このように成分が全て\(1\)になる対角行列は単位行列と呼んで、スカラーで言う\(1\)のようなものになります。
何らかの行列に単位行列をかけてもかける前の行列と同じ行列になります。
行列のランク
それで最後、簡約化のついでにランク(階級)という言葉も紹介しておきます。
ランクとはその行列を簡約化したときに全て\(0\)にならなかった行の数です。
さっき簡約化したこの行列なら、最終的に単位行列になって、\((0, 0, 0)\)という行ベクトルはなかったので、そのまま次数の\(3\)というのがランクになります。
それで例えばこんな行列の場合は3行あるうちの一番下だけが全て\(0\)になっていますので、ランクは1つ減って\(2\)という事になります。
練習問題
はい、以上が今回の内容でした。
続きの内容もどんどん投稿していきます。
では今回のまとめとしていつもの練習問題に入ります。
この簡約化は考えるというより慣れですので、実際に手を動かしてみてください。
この行列のランクを求めてくださいというのが今回の問題です。
それで最終的に得られた行列はこんなもので、そのランクは\(2\)になるので、元の行列のランクも\(2\)という事になります。
こんな感じで適当に行列作って簡約化していけば手が慣れてくるのでぜひやってみてください。
まとめ
という事で軽くまとめて終わります。
今回は行列と言うものについてその紹介と簡約化、ランクについて説明しました。
零行列、正方行列、対角行列、三角行列、単位行列といっぱい名前が出てきたので、どういうものか答えられるようにしておきましょう。
簡約化は1が階段状に並ぶような形にする操作で、\(0\)ではない成分を持つ行ベクトルの数がその行列のランクという事になります。
簡約化やランクが具体的に何をやっているのかという事を今回お話ししていませんが、今後だす記事を見ればああ、なるほどとなってもらえるので、そちらの方も見て頂ければと思います。
今回は以上です。どうもありがとうございました!
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