【大学の有機化学】エーテルの命名法と物理的性質を詳しく解説! – ばけライフ

【大学の有機化学】エーテルの命名法と物理的性質を詳しく解説!

こんにちは!

今回も化学のお話やっていきます。

今日のテーマはこちら!

エーテルの命名法と物理的性質を知ろう!

動画はこちら↓

動画で使ったシートはこちら(ether name)

では早速内容に入っていきましょう!

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エーテルの命名法

まず、エーテルというのは、分子の中にCOCという構造をもっている化合物の総称です。

しかし、エーテルは慣用名であり、IUPACではアルコキシアルカンとして扱います。

例えば、下のメチルエチルエーテルは、IUPACではメトキシエタンと呼びます。

ジエチルエーテルは、エトキシエタンと言います。

IUPACでは、環状エーテルのことをオキサシクロアルカンと呼ぶので、下の1,4-ジオキサンは、1,4-ジオキサシクロヘキサンとなります。

変わった慣用名で言うと、1,2-ジメトキシエタンは、グリコールメチルエーテルまたはグライムと言います。

また、これはよく使う溶媒ですが、オキサシクロペンタンはテトラヒドロフラン、略してTHFと呼びます。

こちらは、活性な試薬として有名なオキサシクロプロパンですが、これの慣用名はいくつもあって、オキシランエポキシドエチレンオキシドと呼びます。

有機化学では炭素と水素原子以外の原子をまとめてヘテロ原子と呼び、環状エーテル、環状アミン、環状スルフィドなどヘテロ原子を含む環状化合物の総称をヘテロ環化合物と呼びます。

また、エチレングリコールを繰り返し単位とした環状ポリエーテルには、クラウンエーテルという名前があります。

クラウンは王冠のことで、結晶状態や溶液状態で王冠の形状に似た立体配座をとることから、この名前で呼ばれています。

例えば、下のクラウンエーテルは、18-クラウン-6と呼びます。

18が環を構成する原子数で、6が酸素原子の数を指します。

これらクラウンエーテルは環の中の電子密度が大きいため、ある特異的なはたらきをすることができます。

詳しくは、この記事の終盤でお話しします。

エーテルの物理的性質

次に、物性を見ていきましょう。

エーテルとアルコールは、分子式が同じですが、その性質は大きく違います。

沸点

まず、エーテルの沸点はアルコールの沸点に比べてかなり低いです。

ジメチルエーテルは気体で存在するため、一般的な溶媒としては使われません。

水への溶解度

水との親和性も低く、ジメチルエーテルは水と完全に混ざることができますが、メチルエチルエーテルだと\(\displaystyle 10\%\)程度しか溶けなくなります。

エーテルにプロトン性の水素がないため、水と水素結合ネットワークを形成できないことが理由です。

金属イオンに溶媒和する

エーテルは、水やアルコール同様に孤立電子対をもっており、金属イオンに配位できます。

ポリエーテルの場合は、分子全体で金属イオンを取り囲むようになります。

その会合体の外側には、疎水的な炭素骨格があるため、疎水的な溶媒との親和性が高いことになります。

例えば、過マンガン酸カリウムはベンゼンに溶けませんが、先ほどの18-クラウン-6を加えると溶けるようになって、有機溶媒中で酸化反応を起こせるようになります。

また、金属イオンの中でも特定のイオンだけを選択的に保持できるものも見出されました。

下のクリプスタンドという化合物は、空孔サイズによって金属イオンを識別して選択的にイオンを捕まえることができます。

これらの化合物の重要性は高く評価され、1987年のノーベル化学賞に選ばれました。

これらのように疎水的なものとイオンとの親和性を高めるものは、イオン輸送剤と呼ばれます。

また、これはイオノホアの一種と言えます。

イオノホアとは、カチオンの周りに配位する構造をもつ化合物の総称です。

これは余談ですが、自然界にもイオノホアはあって、細胞膜、すなわちリン脂質の二重膜を透過して、細胞内外の物質のやり取りを助けるはたらきをします。

神経伝達に影響を及ぼすので、特に神経伝達に悪影響を及ぼすものは神経毒と呼ばれます。

有名な例は、フグに含まれるテトロドトキシンで、下図の構造をもっています。

まとめ

今回の内容は以上です。

間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、Twitter(https://twitter.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。

それではどうもありがとうございました!

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