【大学の物理化学】波が満たす条件式(波動方程式)と複素数の波について、わかりやすく解説!!

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こんにちは!

今回のテーマはこれです!

波が満たす条件式(波動方程式)の導出と、複素数に拡張された波について簡単に理解しよう!

動画はこちら↓

大学の物理化学 波が満たす条件式(波動方程式)

動画で使ったシートはこちら(wave equation)

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波とは

突然ですが波とは何か説明できますか?

高校の物理を取った方であればおわかりかと思いますが、波とは同じようなパターンが空間を通じて伝播するものです。

現実世界で波を記述する場合のパラメーターとしては振幅、周期、波長、位相のずれが挙げられます。

高校の物理で習ったように位置\(x\)と時刻\(t\)に依存する単一の波は、下の式で与えられます。

これに加えて周期や波長、振幅を変えた正弦波の和も決まったパターンを示す波といえます。

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波動方程式

今回はそんな波がどのような条件式を満たすのかという話をしていきます。

その前にまず、先ほどの関数をこのように書き換えておきます。

ここで\(2\pi/T\)を角周波数、\(2\pi/\lambda\)を角波数と呼びますが、それぞれ周波数波数と呼ぶこともあります。

それではまず偏微分を考えてみましょう。

偏微分というのは多変数関数をある変数以外固定した状態で微分する演算方法です。

例えば\(t\)についての一階偏微分はこのようになります。

ここでもう一つの変数である\(x\)は定数として扱っています。

今度これをもう一度\(t\)について微分してみましょう。

すると、\(A\sin^2 (\omega t-kx)\)という元の波と同じものが表れることになり、二階偏微分は\(-\omega ^2\varphi\)という事になります。

同様に\(x\)についても微分してみると、\(x\)の二階偏微分は\(-k^2\varphi\)になります。

つまりこのような関係が成り立つことになります。

ここで波長を周期で割ったものが波の速さにあたることから\(\omega /k\)を速さ\(v\)とおくと右のような等式が得られます。

この式は、波であれば成り立つ式であり、波動方程式と呼ばれます。

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三次元空間での波動方程式

ここまで一次元で考えていたのですが、現実のように三次元も考えてみましょう。

するとこのようになります。

ここであるベクトル演算子を導入します。

\(\boldsymbol{\nabla}\)の記号はナブラと呼びますが、それをこのように表します。

ここで\(\boldsymbol{\rm{e}}\)は各軸方向への単位ベクトルを表しています。

左辺の()の中身は\(\boldsymbol{\nabla}\)というベクトルの内積という意味です。

ベクトルの内積は同じ成分をかけたのちその和をとったものですから、確かに元の式と同じになります。

\(\boldsymbol{\nabla}\)同士の内積は、さらに\(\Delta\)で表してラプラシアンと呼びますので、知っておいてください。

練習問題

といったところで恒例の練習問題に入って終わろうと思います。

例では\(\sin\)という実数で考えたのですが、では複素数の世界でも波はあるのかという事で、\(\exp[\rm{i}(\mathit{\omega t-kx})]\)が波動方程式を満たすかどうか実際に確かめてみてください。

答え
このように二階偏微分を考えると\(\sin\)と同じ結果になることから、\(\exp\)の複素数乗は複素数の領域に拡張された世界での波という事ができます。

これは量子力学をやるうえでとても重要なことなので覚えておいてください。

まとめ

今回は波であれば普遍的に満たす波動方程式の導出を行い、複素数での波について考えました。

オイラーの公式で\(\exp[\rm{i}(\mathit{\omega t-kx})]\)が三角関数を用いて表せることを考えれば、波であることが納得いただけると思います。

オイラーの公式についてはこちらの記事で解説しています。

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といったところで、今回は以上です。

どうもありがとうございました!

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