【大学の数学】4次以上の大きな行列式の解き方(次数下げ、余因子展開)について、わかりやすく解説!

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こんにちは!

それでは今日も数学をやっていきます。

今回のテーマはこちら!

次数の大きな行列式をどうやって解くのか考えよう!

動画はこちら↓

動画で使ったシートはこちら(cofactor expansion)

次数が上がると、行列の成分は\(n^2\)で増えていって、置換の数は\(n!\)で増えていくので、一気に計算量が増加します。

そこで、どう対処していくのかという話をしていきます。

それでは内容に入っていきます!

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行列式を変形する際のルール

まず、行列式を簡単な形へ変形させるためのルールを一気に出します。

時間がある人は、1つずつ下の定義から確かめてみてください。

行列式の定義についてはこちらをご覧ください。

【大学の数学】行列式の定義と2、3次行列式の解法をわかりやすく解説!
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特に①、②、③が成り立てば④が成り立つというように連鎖するので、証明はそこまで難しくはありません。

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4次以上の行列式の解法

では実際に、大きな行列の行列式を解いていきましょう。

なお、2次および3次の行列式の解き方については、こちらの記事で解説しています。

【大学の数学】行列式の定義と2、3次行列式の解法をわかりやすく解説!
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ここでは、便利なテクニックを2つ紹介します。

次数下げ

まず1つ目が次数下げです。

行列の\((1,1)\)成分が\(0\)ではない値で、かつ1行目または1列目の\((1,1)\)成分以外がすべて\(0\)であったとき、この行列式は下のように書くことができます。

\((1,1)\)成分を前に出して、残る行列式は1行目と1列目を取り除いて次数が1つ下がったものになります。

次数が下がるほど計算が簡単になるので、この操作を繰り返して、2次や3次まで落とせば、手計算が現実的になってきます。

なぜ、次数を下げることができるのか、置換を考えてみると、\(1\)を\(1\)へ移す場合以外はすべて\(0\)になってしまうので、\(S_n\)の条件に\(\sigma (1)=1\)というのが追加されまます。

結局、\(\sigma (2)\)から\(\sigma (n)\)までを自由に変えることになるので、次数が減ることと等しくなります。

三角行列の次数下げ

この次数下げは、連続してできる場合があります。

それは、行列が三角行列や対角行列であるときで、結局、行列式は対角成分の積になります。

\(\ast\)の部分がどうなっていようと行列式の値は変化しません。

そのため、すべての行列式が三角行列であれば、計算は簡単にできますが、実際はそうはいきません。

そこで思い出していただきたいのが行列の簡約化です。

簡約化については、こちらの記事をご覧ください。

【大学の数学】サイエンスでも重要な概念である行列の種類と簡約化、ランクについて、わかりやすく解説!
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簡約化によって上三角行列に変形させるということをします。

ただし、簡約化した後の行列式は、元の行列式といつも同じ値になるわけではありません。

冒頭で紹介した5つのルールに則って行列式にマイナスをつけたり、定数をかけたりしながら、同時に行列の簡約化をしていくことになります。

余因子展開

では、続いて大きな行列式を解く際のテクニックの2つ目、余因子展開というものについて、お話しします。

この方法は、\(0\)が多い行または列をもつ行列について計算を行う際に、最も威力を発揮するものです。

計算式はこちらのとおりです。

まず行列の中で着目する行または列を決めます。

ここで、着目する行はどれでもよいですが、上記の式では\(i\)行目に着目しています。

そして、今度はすべての列について考えていきます。

\(k\)列目について考えた際には、まず\((-1)^{i+k}\)に行列の\((i,k)\)成分をかけます。

最後に、元の行列から\(i\)行目と\(k\)列目を取り除いて、次数が1つ下がった行列の行列式をかけます。

実際にやってみると、次のようになります。

この行列式を2行目に着目して余因子展開していきます。

2行目を選ぶのは、成分に\(0\)が多くて計算が簡単だからです。

実際に展開するとこんな式になります。

最終的には4つの項のうち3つが\(0\)になるので\(3\times 3\)次行列式という形になり、このように求めることができました。

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練習問題

はい、それでは実際に練習問題をやってみましょう。

下記の行列式の値を求めてみてください。

次数下げ、余因子展開どちらを使っていただいてもよいですし、両方使っても構いません。

自分は3行目についての余因子展開をしてみました。

すると、最終的に\(-219\)と求められました。

次数下げでもこの値になっていれば正解です。

まとめ

はい、今回の内容は以上です。

間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、Twitter(https://twitter.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。

それではどうもありがとうございました!

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