こんにちは!今回は行列の記事第二弾という事でこちらのテーマでお話ししていきます。
動画はこちら↓
動画で使ったシートはこちら(matrix calculation)
では参りましょう!
行列の足し算
まず、行列の足し算なんですが、これはめちゃくちゃ簡単です。
行と列の数が全く同じ行列同士でしか足し算を定義できないんですけど、その場合には同じ場所にある成分同士をそれぞれ足していったものが和の行列になります。
行列の掛け算
続いて掛け算はちょっと複雑なんですが、まず二つの行列をかけるとき左側の行列の列の数と右側の行列の行の数が同じ時にしか定義することができません。
そして掛け算ができるときには、左側と右側の行列の各成分をそれぞれ\(a_{ij}\)、\(b_{ij}\)、掛け算の答えとなる行列の各成分を\(c_{ij}\)で表すとすると、\(c_{ij}\)は\(a_{il}\)×\(b_{lj}\)を\(l\)が\(1\)から\(k\)まで足したものになります。
はい、全く意味不明ですね(笑)
実際に例を見たほうが早いので、例えばこの行列の掛け算を見てみましょう。
この掛け算の積で初め、\((1,1)\)成分を考えるときには左側の行列の1行目と右側の行列の1列目に着目します。
そして各行列の\((1,1)\)成分同士をかけて\(-1\times 0\)が出てきます。
これにもう1つ左側の\((1,2)\)成分と右側の\((2,1)\)成分の積つまり\(0\times 1\)を足します。
結局\(0+0\)なので、答えの\((1,1)\)成分は\(0\)になります。
\((1,2)\)成分を求めるときには左側の行列の1行目と右側の行列の2列目に着目して同じことをやります。
\((2,1)\)成分を求めるときは左側の行列の2行目と右側の行列の1列目、\((2,2)\)成分を求めるときには左側の行列の2行目と右側の行列の2列目について同じことをやります。
それでこのようにして行列の積は求められるんですが、行列ではなく縦ベクトルを列が1個の行列としてみなすと、行列とベクトルの積も考えることができます。
例えばこの掛け算ではこんな計算により\((7, -3)\)という縦ベクトルが得られます。
このようにある行列に左から縦ベクトルをかけた場合にはその積は縦ベクトルで与えられることになります。
連立方程式への利用
これの考え方を使うと、実は連立方程式の表記を変えることができます。
これら3つの式の左辺を(ある行列)\(\times (x, y, z)\)という縦ベクトルの積であるという風に考えます。
そしてそれぞれの式の右辺がその答えになるという形です。
この係数だけを取り出した行列のことは係数行列と呼びます。
では今度書き換えだけでなくて、この方程式を解くという事を考えていきます。
ここで、以前の記事でやった簡約化という操作を思い出してほしいんですけど、この操作ではかけて足してを繰り返すことでなるべく簡単な形に変形しようという事をやっていました。
詳しくはこちらをご覧ください。

このかけて足してという操作、実は連立方程式を解く操作も全く一緒です。
簡約化ができた時には\(x\)、\(y\)、\(z\)がそれぞれ求まっているという事になります。
これを確かめるために、まずは拡大係数行列というものを導入します。
係数行列との違いはこんな風に最後の列に右辺が引っ付いている事だけです。
連立方程式はこの拡大係数行列の簡約化によって解くことができます。
そして、例えば係数行列のランクが方程式の数と等しい場合は簡約化によって係数行列は単位行列にすることができ、この時の一番右側の列が\((x, y, z)\)になっています。
逆に係数行列のランクが方程式の数より小さい場合には\(x\)はいくら、\(y\)はいくらというように厳密な解を求めることができず、任意の定数を含んだ一般解が得られます。
一般的に3個の未知定数を厳密に求めるためには3つの条件式が必要になるという事が言われていて、それは正しいのですが、その逆の命題、すなわち条件式が3つあれば、未知定数が3つ分かるというのは成り立ちません。
3つ条件式があり、かつ係数行列のランクが3であることが未知定数3つを厳密に求めるための十分条件になります。
練習問題
はい、では最後練習問題としてこの2つの連立方程式を解いてみましょう。
行列を使わなくても、中学校からやっているやり方でも解くことはできますが、せっかくですから簡約化を使って解いてみましょう。
4列目がそのまま、\((x, y, z)\)になるので、解は\((3, -2, -1)\)となります。
(2)でも同様に拡大係数行列を作って簡約化します。
するとこの通りランクが2でした。
この場合は3つのうちどれか1つを任意の定数としておいてあげることで一般解が得られます。
仮にzを任意の定数Cとした場合、\((x, y, z)\)はそれぞれ\((6+3C, -3-5C, C)\)となります。これには例えば\((6, 3, 0)\)や\((3, 2, -1)\)という解が含まれます。
まとめ
という事で今回は行列の加法乗法と連立方程式についてお話ししました。
重要な部分をおさらいしておくと、まず、行列同士の足し算では同じ場所の成分同士を足したものが、答えの成分となりました。
掛け算はちょっと複雑で左側の行列の\(i\)行目と右側の行列の\(j\)列目に着目してその内積を取ったものが答えの(i,j)成分となります。
行列と縦ベクトルの積は縦ベクトルになるのでこれを使うと連立方程式を行列とベクトルで表現することができます。
係数を取り出した行列は係数行列、方程式の右辺も含めた行列を拡大係数行列と言って、その簡約化により連立方程式を解くことができます。
ただし、厳密な解を得られるのは係数行列のランクが未知定数の個数と同じになった場合のみで、ランクが小さい場合は足りない数だけ、任意の定数を入れて一般解という形で方程式を解くことができます。
これから投稿する記事でも、まだまだ行列についてお話ししていくので、そちらもぜひ見てください。
それではどうもありがとうございました!
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