こんにちは!
今日も化学のお話やっていきます。
今回のテーマはこちらです!
動画はこちら↓
動画で使ったシートはこちら(alcohol 6)
では、参りましょう!
エステル化反応
まず、エステルというのは酸とアルコールの縮合反応によってできる化合物の総称です。
縮合とは、水などの低分子の脱離とともに、新たな結合が形成される反応です。
最も一般的なのが、カルボン酸エステルです。
これは有機酸エステルとも呼ばれ、アルコールとカルボン酸との縮合反応で作れます。
この反応は化学平衡にあるので、水の量を調整することででどちらかに傾けることができます。
カルボン酸以外の酸とアルコールでも縮合が起こって、エステルが生成します。
これらは、無機酸エステルと呼ばれます。
無機エステルを経由したハロアルカンの合成
これら無機酸エステルは、ハロアルカンの合成に使われます。
まず、その前にアルコールの求核置換反応を考えていただきたいのですが、この反応では、中間体としてカルボカチオンを経由したり、協奏的なアルキル移動が起こったり、脱離反応が起こったりして、複雑な生成物を与える可能性が考えられました。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
そこで、ヒドロキシ基を水以外の優れた脱離基に変換するために、無機酸エルテルを経由します。
ブロモアルカンの合成
例えば、ヒドロキシ基をブロモ基に置換したいときには、三臭化リンを使います。
反応機構がこちらです。
三臭化リンにはプロトン性の水素はありませんが、空軌道をもつLewis酸だと言えます。
そして、\(\displaystyle \rm{HOPBr_2}\)\(\)の部分が優れた脱離基となるので、このように\(\displaystyle \rm{S_N2}\)\(\)反応が起こって、ブロモアルカンになります。
三臭化リンの\(\displaystyle \rm{Br}\)\(\)が1つ\(\displaystyle \rm{OH}\)\(\)に置換されましたが、これはまだ反応できるので、結局3等量のアルコールと反応します。
ヨードアルカンの合成
臭素ではなくヨウ素に置換したい場合も、これと似た反応をさせます。
ただし、三ヨウ化リンは反応性が高すぎるので、反応系の中で発生させる方法をとって、コントロールしやすくする方法が知られています。
反応剤には、赤リンとヨウ素を使います。
クロロアルカンの合成
塩素に置換する場合は、塩化チオニルを使う方法が一般的です。
こちらの反応も無機エステルの生成によってヒドロキシ基が脱離基に変わることで、\(\displaystyle \rm{S_N2}\)\(\)反応が起こります。
この反応は、トリエチルアミンなどの塩基を加えておくことで、副生成物の塩化水素を中和できるので効率よく進行させることができます。
スルホン酸アルキルを経由した置換反応
最後にもう1つだけ、アルコールの置換反応を紹介しておきます。
この反応では、塩素、臭素、ヨウ素どれでも置換できるほか、チオラートアニオンなどの優れた求核剤であれば、置換反応を起こすことができます。
反応に使う試薬は、塩化メチルスルホニルとピリジンです。
生成するエステルは結晶性の固体で、単離・生成しやすいため、そのあとで、目的の求核剤と反応させるということが容易にできます。
練習問題
本題は以上なので、練習問題をやってみましょう。
3-クロロヘキサンを1-プロパノールから合成する方法を考えてください。
まず、炭素炭素結合を作る反応としてGrignard試薬やアルキルリチウムなどの有機金属反応剤を使った方法を使うことにします。
その反応の生成物はアルコールなので、まずはクロロ基をヒドロキシ基にします。
そして、Grignard反応が起こる2つの試薬に分けます。
どちらも炭素数が3であり、1-プロパノールから作ることができるので、最後これを反転させることで、このような合成戦略を立てることができます。
逆合成解析、Grignard反応については、それぞれ以下の記事を参照してください。
まとめ
はい、今回の内容は以上です。
間違いの指摘、リクエスト、質問等あれば、Twitter(https://twitter.com/bakeneko_chem)かお問い合わせフォームよりコメントしてくださると、助かります。
それではどうもありがとうございました!